お芝居の恋がいつしか本物に。心も体もあなたに蕩けていく 2
かにゃん まみ
第一章 俳優の卵
1
僕は春原守、21才。養成学校を出て早二年、まだまだ駆け出しの俳優の卵。
とあることで借金を抱えてしまって、その時に藁をも縋る思いでいたら、なんとボーイズラブドラマにスカウトされてしまった。
もちろん追い込まれていた僕がその仕事を断れるはずもなく……。
そして、それが僕自身が高校時代、男性に失恋してた自覚もなかったのに、自分の性癖がわかってしまうきっかけを作った。
共演した相手の男性が同性愛者で僕は彼を好きになってしまったのだ。
ちょっとした紆余曲折の末、僕らは恋人同士になったのだけど……。
僕の恋人は僕なんかよりずっと有名な俳優さん、身長は180センチ以上あるし、顔は見惚れるほど彫刻みたいに綺麗、体は男らしく、その癖繊細なところがある。
ピアノが得意で、大学は通信で駆け抜けるように二年で卒業しちゃったそうだ。
その後、実家に居づらかった彼は街を彷徨いてる時にたまたまスカウトされて、俳優の道に進んだ。いいきっかけだからと家も出たそうだ。
隆二も最初はボーイズラブのドラマをやってたそうだ、けれどそのうちキャパが広くなってしまい、今はお芝居や民放のドラマに出演するまでになってる。
とにかく器用な人で、本人はそうでもないなんて謙遜するけど。
セリフ覚えは早くて、役を掴むのも早い。仕草を見るだけでつい魅入ってしまう。これってすでにカリスマ的な才能なんじゃないかなぁ。
ともかく有名な人だって事は付き合ううちに次第にわかってきた。
有名人ゆえに、僕たちが付き合っているのは隆二の事務所的にも今のところNGらしい。
隆二と同棲生活を始めて早3ヶ月弱、僕は僕で色々な生活の変化があった。
まず、海倉監督つてで、ちゃんとした芸能プロダクションを紹介され、今日はその紹介された事務所に挨拶に行く日だ。
今朝から鼓動がいつもより早くて、どこか落ち着きのない仕草を無意味にしてしまうのはそのせいだ。
新人の僕がどこまで通用するかもさっぱりわからないし、どんな事務所でどんな先輩達が所属しているのかも不明だ。
まだ2月半ば過ぎで若干肌寒い。
僕は愛用のダッフルコートを身につけて、白い建物のアクセントにレンガ模様のある隆二のマンションを出た。
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