第10話大陸の真ん中で愛を叫ぶ。
最初に言おう。
私はエロい事が好きだ。
諸君、私はエロい事が大好きだ。
この世界で私は冒険も好きだがエロい事もそれ以上好きだ。
しかし力を振り下ろしながら野蛮なスタイルは好まない。
勿論、時と場合によるのだが。
互いの位置関係はしっかりするべきだと思う。
それで冒険者としてLV50にもなった私はそろそろ彼女達探しの旅に出るつもりである。
この世界をゲームプレイする時はセレナと言う女性をパートナーとして行動を共にしていた。
「セレナ」
ギリシャ/ローマ神話では月の女神の名前らしい。
よく彼女に似合う名前だと思う。
なんせ彼女も彼女の実家も闇に潜むバンパイヤ一族だからね。
彼女のお父さんはその長を務めてる。
今回、出来れば面倒な事は避けたいが、避けて通れない事も世の中にはあるって事だな。
何より心配な事はこの世界は私がゲームでやっていた時とは少し変わっていた事だ。
時間の軸がずれたのか、もしくはパラレルワールドのようなものなのか、人物と歴史的関連性が僅かにズレてる。
先ず最初の場面でも私はマルカスと言う人物と関わった事が無かった。
襲撃そのものが想定外だったし、考えを整理する間も無く彼を助けるかしないかの選択をしなければならなかった。
彼を助けた事に後悔はない。あのまま死なせるには惜しい男だった。
しかしその後、マルカスと言う家紋を調べたがあんまりハッキリとした情報は掴めなかったのだ。
指輪を渡されたが、敢えて表に出そうとは思えなかった。
だってこれ思い切りインペリアル(皇帝の)模様入ってるんだもんな。
絶対めんどくさい匂いがする。
今の帝国皇帝「マーカス3世」
まさか帝位継承者だとは考え難い。
恐らく即位からは離れた権力闘争とは無関係な立ち位置だと判断するのが無難だろう。
じゃなきゃあんな反乱軍と対立してる最前線に親衛隊もなしで居たりはしない。
本来マルカスはあそこで亡くなる運命だったかも知れん。
しかしノブレスオブリージュか。
王族や貴族さんは大変だな。
まあその分、普段は民から税金もらってるし、大きな権力には重い責任が課せられるべきなんだろ。
マルカスの件は過ぎてしまった事なのでどうする事も出来ない。私が行った事が良き方向に繋がるのを願うしかない。
考えを改めながら頭を冷やしていく。
私が今会いにいくのは果たして「セレナ。」なんだろうか?彼女と最初に出会えた封印の場所を目指して足を運びながら自分に質問する。
彼女が居ない可能性もあれば、違う人がいるかも知れない。覚悟を決めた方が良いな。
今は中央大陸から少し北側に位置した場所に移動中だ。
なんだか見たような場所というか、この地域は山と渓谷の風景が素晴らしく似たような場所も多い。
ひんやりとした空気が気持ち良い。
リコ「マスター、上空に反応です。」
恐らく10kmは離れてるであろう雪が積もり始めた山の頂上付近の事だ。
その山からこちらに向かって飛んで来る飛行体が見える。
私「ありゃドラゴンか。それも二匹。片方が少し小さい、あれは攻撃受けてるな。」
リコ「ステルスモードをアクティブにしますか?」
ちょっと待ってよ。あれには見覚えがあるぞ。
私「リコ、小さい方のドラゴンの画像データを送ってくれ。目とツノもだ。急いで」
リコ「画像、ヘルメットに投影します。」
画像を確認した私は高速ジャンプ機動を開始した。
鈍重な図体からは想像出来ないくらいの素早さである。
前にかがむと同時に下半身の強化筋肉をバネのように跳ねながら地面を蹴る。
弾丸の様に肉体をロールしながら飛ばしていく。
重力下での強化スーツの一般的な高速移動方法だ。
私「小さいのを確保する!サポートを頼む。」
リコ「サーイエッサー。」
まさかこんなところで会うなんて。
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