ギャルとデートへ!

 歓迎すると、和泉は立ち上がって少し震えていた。


「案内してくれてありがとうございます。すっごく驚きましたし、興味もあります」


 おぉ、興味を持ってくれて俺は嬉しいよ。ただ、やっぱり小島問題は解決しないと、まだ『うん』とはうなずいてくれそうにないな。


「小島の事は任せろ。俺がなんとかする」

「あたしもねっ」


 璃香もサムズアップして賛同してくれた。非常に心強い。


「本当に嬉しいです」



 ◆



 それから、各所を回った。会議室は、まだ椅子いすと机のみ。十人は座れる規模があった。これって、なんだか映画とかでよくある闇の組織みたいな雰囲気だな。


 更にエレベーターで降り、九階へ。


 なんと九階には、寝室やシャワールームがあった。和室もあるぞ。へぇ、住めるなこれは。



「賢、九階は寝泊まり用の階層なの。眺めがいいから!」



 と、璃香は自信満々に言った。

 そんな理由かよ!

 会社をホテルにするなッ。


 とはいえ、オーナーは璃香だから文句は言えない。ていうか、便利だからヨシとする!



「なるほど、でも、こりゃ良い」



 わざわざ実家へ帰らなくて済むし、徹夜も可能というわけだ。社員向けのヒーリングルームでもいいかもな。



「ホテル仕様だなんて……こんな会社有りなんですか……」



 あの和泉でさえ、もう意味不明だと混乱におちいっていた。俺もそう思ったよ。だけど、こういう会社もあり有りかもな。俺はいいと思った。


「まあいいんじゃないか。和泉さんも社員になってくれるなら利用して良いし」

「それ、ちょっと魅力的かも」


 お? なんか乗り気だぞ。


「さて、結構回ったし今日はここまでにしておくか」


 すっかり暗くなってしまった。

 そろそろ帰らないとな。



 エレベーターで一階まで降り、解散となった。



「今日は楽しかったです、東雲くん」

「そう言って貰えて良かったよ。案内した甲斐かいがあった。じゃあ、俺と璃香で護衛するよ」


「良いんですか……?」

「いいよ。小島から守るって約束だろ」

「ありがとうございますっ」


 ぺこっと頭を下げる和泉。今だけはなんだか小さく思えて、守ってやらないとなって思った。



 歩いて俺の家とは逆方向へ向かう。

 どうやら、駅へ向かっているようだな。



「あれ、和泉さんってどこに住んでいるんだ?」

「駅前のマンションです」

「あー、あそこか」



 って、結構デカいよな、あの辺り。お金持ちが住むような場所だぞ。そうか、元アイドルなんだし、親も金持ちか。


 駅まで向かうと、セキュリティが厳重なタワーマンションに辿り着いた。俺のアークよりも大きいじゃん……!


「もう大丈夫です。また宜しくお願いします」


「ああ、また明日」

「明日ね」


 俺と璃香は手を振った。

 和泉も手を振って背を向けた。


 今日は無事だったけど、明日は分からない。目を光らせておかないとな。


「さあ、帰ろうっか、賢」


 璃香は、秘書モードを切り替え、ギャルモードへ。


「おう。帰ろう」

「えっ~、夜はこれからでしょ。ゲーセン行こうよ」

「マジィ!?」


 俺の腕をぎゅっと抱える璃香。

 あー、これは逃げられない。

 ていうか、逃げたくない。


「マジったらマジ。デートしないとねっ」

「デートぉ!?」

「うん、働くようになったら暇がないだろうし」


 それもそうか……って、なんか付き合っているみたいだな。まあいいか……!

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