ぼっちの俺に構ってくれるギャル

 出会った日から、宮藤は俺にずっと構う。まるで友人か恋人のような距離感。あまりに近い。近すぎて俺の貧弱な心臓が破裂しそうだった。女体耐性なんて本当はゼロに等しいんだぞ、俺。


 だが、せっかくお近づきになれたのだ。この奇跡を取りこぼしたくはない。



 放課後、俺は一年の時と変わらずぼっち下校かと深い溜息を漏らしていた。教室にはもう誰もいないし、俺という存在に気づく者もいなかった。……寂し。けれど、今日はラッキーだった。宮藤というギャルと話せた。


 こんなモテ期らしきものは一生あるかないか。もう二度とかもな。そんな時、教室のドアが開いた。



「やっほー!!」



 やっほーって……子供かよ!

 このやたら明るい声は宮藤だ。

 って、あれ。なんか雰囲気が違うな。


 何が違うって、アッー!!



「おい、宮藤。お前、眼鏡するのか……」

「あー、うん。ちょっとコンタクト失くしちゃってさぁ~。あ! 今だけは賢と一緒だねー」



 ついに呼び捨てになった! いやいいけどさ。もうここまで馴れ馴れしいと逆に気にならないっていうか、むしろこっちの方が自然だ。だから俺は怒らないし、嬉しかった。どうしようもないくらいに。


 そんな眼鏡っ子にジョブチェンジした宮藤だが、こう見るとなんだか知的に見える。いや、だがあの巨乳とも呼べる豊満なバストと組み合わさると、なんだかエロさマシマシ。

 ……ふむ、彼女は清楚せいそっぽいところもあるから、黒髪だったら秘書っぽいかも。俺はいつか『会社』を作りたいと思っているから、宮藤なら歓迎だな。



「似合ってるよ、その眼鏡」

「あ、ありがとっ! じゃあ、本屋さんに行こっか」


「――は?」



 突然の提案に俺は、頭が混乱した。本屋? なぜ本屋に行かなければならない。俺は部活に所属もしていなければ、帰宅部なのかも怪しい存在。もはや、クラスメイトから幽霊ゴースト扱いすらされているのだぞ。


 まともに付き合ってくれているのは、宮藤くらいだ。よくもまあ、俺なんかに声を掛けてくれたものだよ。



「いいじゃん。付き合ってよ」

「し、仕方ないな」



 もちろん行きますとも。

 ギャルのお誘いだぞ。

 断る理由なんて――ないッ。

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