踏まれ続けた花
3.2.1
第1話 2003.春
2tトラックが、田舎道を走っていく。
「新しい生活始まるわね。夢の東京」そんな母の言葉が、今でも夢に出てくる。
「絶対、成功するまでは、ここには帰ってこない」母の寂しげな背中に向けて、喉の奥で伝えた。
東京の街、特に新宿や渋谷は、人の往来が激しく、田舎育ちの私は人酔いしながら、新たな新居のあるアパートへと母と七つ離れた妹の秋葉と向かう電車内で、自信を失いながら窓の外を見ていた。
田舎から出た私の荷物を積んだトラックが新居につき、三人で荷物を運び、部屋が出来上がり、お祝いで近くの焼肉屋に行く。
母からは、「たまに遊びに来る。夏休みは帰ってきて車の免許をとるように」と言われ、私は頷くだけだった。どんどん不安になっていく。
翌朝、母と秋葉を送りに最寄りの駅に送り、私はその足で買い物に行く。
帰宅したら、机の上に『がんばれ!みくる!』と書かれた手紙があり、なぜが急に涙が溢れてきた。
ただ、この時は20年後の今、私は想像もしていなかった。
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