第一話 

僕は生まれつき目が見えない。

幼い頃は少しぼやけている、というだけだったが年を重ねるにつれてどんどん悪くなっていき、中学生になる頃にはもう何も見えなかった。


色とりどりで煌びやかな世界は、僕には一生見えることはないだろう。きっと今後も暗闇の中に死ぬまで葬られているだろう。





けど、僕はこの使えない目に少し感謝している。





5歳のとき、母に連れられて少し遠くの病院に行った。


僕は病院で先生に来年からは小学生だから、目が見えないとなると、普通の小学校に行くのは少し厳しいかも知れない。この辺りはあまり障害者福祉が発達していないし、盲学校に行くのはどうだろうかと勧められた。


僕はもうがっこうってなんだろう。

としか思っていなかったが、母は元々僕を小学校からは盲学校へ入れるつもりだったらしく、先生に紹介された学校へ向かった。






そこで出会ったのが僕よりひとつ年下の衣緒だった。

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見えない僕と聞こえない君。 巫 歪 @root56nico

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