知らないフリ

〈セイ視点〉








レイナ「陽兎、今日も残らないの?」






ハルト「明日の朝早いんだよ」






レイナ「何?なんかあんの?笑」






ハルト「普通に就活だよ!

    玲奈も4年じゃん、ちゃんとしてんの?笑」






モモ「陽兎さんも成泉さん達みたいに

  コッチで探すんでしょ?」






ハルト「たぶんね?笑」







最後の客も帰りレジ締めをしながら

座敷を片付けている陽兎達に目を向けた…






( てっきり付き合ってるかと思ってたけどな… )






俺はあの二人が皆んなに内緒で

付き合っているんだとばかり思っていた…







(・・・・あんなもんつけてたし… )






週末のバイト後に皆んなで

新メニューの試作だなんて理由をつけては

いつも残って飲んでいて店に泊まるなんて事も

しょっちゅうだった…





たまたま目が覚めた俺は…

偶然みてしまって…

最初は驚いたがロッカールームで着替える時に

陽兎はたまに首後ろに手を当てて

隠していたから皆んなには内緒で付き合ってるのかと

思い俺も知らないふりをしていたけど…






( ・・・・ヒナって言ってたしな… )






去年の冬に陽兎がバイト後に

血相を変えてロッカールームから飛び出て来たから

俺は心配になり後を追ったら

陽兎は電話相手に「ヒナ!」って叫んでいた…






セイ「・・・・どー聞いたってあれは…」






ハルト「ん?どうしたレジ合わない?」






ハッとして顔を上げると陽兎がレジの前に

立って「いくら合わない?」と覗きこんできた







セイ「いや、まだ計算もしてねーから!笑」

 





ハルト「なんだよ!笑

  珍しくこえー顔してるからなにかと思えば」






レイナ「就職出来るか不安なんじゃない?笑」







俺はこのメンバーが好きだし

皆んなとふざけてる時間が好きだった…

だから…何も知らないふりをした…





あの日見た事も…

あの夜聞いた事も…

全部知らないふりをすることにした…








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