第462話 もういいかなと思う

 チョビさんがいなくなって、そんな生活に慣れたか?と問われれば慣れたのかもしれない。

 相変わらず、思い出さない日なんてない、チョビさんもクロさんも毎日のように思い出す。

 そんな生活に慣れたというだけだ。


 だけど、いやだから?

 もう動物は飼わないと決めている。

 それが魚とかであってもだ。


 虐待とかする人間は論外。

 自分の隙間を埋めるために動物と暮らすというのも違うように思える。

 元々、クロさんもチョビさんも家の前に捨てられていた猫だ。

 飼おうと思って飼ったわけでもなく、なんとなく居ついただけ。

 その前からいたメスの黒猫は妹が事故に遭った猫を拾ってきて、そのまま居ついただけ。

 縁だったのかもしれない。

 そこに意味を考えることも違うのだろうけど…やはり何かと結び付けたがる。

 暮らした時間が縁ならば、先に逝ったのは…何なのだろう?


 僕の中に残っているものに意味はあるのだろうか?

 幸せだった時間を積み重ねるだけの今は幸せなのか?

 あるいは、それは本当に辛いだけの苦しい時間なのではないだろうかと思う。


 この思い出があるから生きていける。

 そんなことは嘘なんじゃないだろうか?

 その思い出を忘れられないことは苦しいだけかもしれない。

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