第342話 貴様…ホントに桜雪?

 雨に濡れたスニーカー。

「足から犬の匂いがします…」


 フンフン…フンフン…

「チョビさん…どうしました?」

 不思議そうな顔で足の匂いを嗅いで何か考えておられる我が愛猫。

『貴様…ホントに桜雪?』


 プイッと部屋を出て行ってしまった。

「そうだ、風呂に入ろう」


 足を洗い、温い湯船に浸かる。

 洗面器を浮かべて気のすむまで歯を磨く。

 歯ブラシにはこだわるのだ。

「この歯ブラシはダメだ…隙間に入っていかない…」


 桜雪の風呂は長い。

 1時間は入っている。

 風呂に入りながら風呂掃除もするからだ。

 なんか矛盾している気もするのだが…。


 風呂からあがるとチョビさんがやってくる。

「貴様…桜雪?」

 洗って濡れた髪を舐めてくださる。

 いいんだ…愛情表現なのだから。



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