第328話 普通は痛いのか?

 肩口に脂肪の塊ができたようだ。

 10年以上前だと思うが手術で取り除いたことがある。

「酷くなる前に行くか…」

 そんなわけで皮膚科に行くことにした。

 初回は診察して抗生物質と化膿止めを渡された。

 きっと次回は手術日を決めるんだろうな~と思っていた。

「どれ…よし切ろう」

「うん?」

 2回目の診察で切って絞り出す方向になった。

 早く治れるのだから構わないのだが…

「麻酔、ちょっと痛いですよ」

「いいですよ」

「押し出しますから痛いですよ」

「……大丈夫です」

「大丈夫ですか? 痛いと思いますけど我慢してください」

 思いっきりやっているようなのだが…

「別に痛くない…マッサージされてるみたいで心地いい」

 幾度も痛いですよ、我慢してくださいを聞いたが問題ない。


 普通は痛がるのか?

 麻酔の進歩かもしれない。

 化学万歳。


 3回目の診察では思いのほか傷口から血が漏れたようだ。

「張り切って押し過ぎたんじゃねぇか?」


 何が痛かったって…

 2回目の診察の診療費と薬代である。

「3000円しかねぇ…」

 診療代はいい。

「お薬…いくらでしょうか? あのね今日、麻酔とか考えてなかったもので、もう740円しかないんだけど…」

「ちょっとお待ちくださいね……690円です」


 帰りにラーメンでも食って帰ろうかと思っていたのに…残金50円って…。



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