第144話 次亜塩素酸ナトリウム

 バイト先の清掃で使用する薬剤である。

 まぁ肌にはよくない…というかタンパク質を溶かすらしい。

「モロに手にかけちゃったよ…」


 容器に穴が開いており、知らずに持った僕の左手にダイレクト付着。

「ほんのり…暖かい…というかヤバい?」


 慌てて清掃中の大浴場に手を突っ込んで必死に擦る。

 風呂の湯の体積からしたら問題ない量である。

「どうせ塩素もロクにでない風呂だ、大腸菌駆除も兼ねよう」


 バイトから帰宅するとチョビさんが走ってくる。

『桜雪ー‼」

 普段なら満足するまで撫でられているチョビさん。

 異臭を察知したのか、その日は傍に寄ってこなかった。

 2日ほど手がカサカサ、ヒリヒリした。

 手袋をしない僕が悪いのだが…。

 薬剤は危険なのである。

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