第119話 もはや祈り

 プラモデルを作っている。

 よく考えれば月の半分くらいは制作期間に当てているような気もする。

 もはやノルマである。


 増える機体…年に2回ほど買い足すガラスケース…。

「疲れた…」

 作り終えると疲れるのだ。

 スプレーで塗装しているせいかシンナーも吸っているわけだし、咳も出るし、たまに在り得ねえ色の鼻水でるし…いいことねぇな…。


 そして今日も作るわけだが…なぜ自分は、こんな面倒くさいことをしているのだろう?


「……ん?」

 スプレー足りるか?

 時折、陥る残数パーツなのにスプレーが軽いという不安感。

「メタルブラック…後何パーツあるんだ?」

 説明書を見ながら数えだす……後9個…デカいのもあるな…イケるか?


「えぇいままよ‼」

 プシュッ…スカー…

「頑張れ‼ 絶対あるはずだ‼」

 ブシュッ‼

「きたー‼」

 何とか塗れた。


 あの瞬間はね…もう祈りだよ。

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