第78話 仕方ないな…

 社に来客があり、食事を一緒にすることになった。

 どうも僕は、こういう役にあたるというか…自分には関係ない客の相手もさせられる。

 嫌いじゃないのでいいんだけど…会社の金で飲み食いしてるわけだし。


 とはいえ、僕は酒が飲めない。

 ゆえに今日は食事だけにしたのだ。

 水曜日ということもあり、定食屋は定休日が多い。

 ふと昔を思い出し、あの洋食屋はまだやっているのだろうか?

 昔作りの店内、狭い駐車場。

 夫婦で営んでいる昔からある洋食屋だ。

 当時、田舎では珍しい洋食屋さんは子供の頃には特別なお店だった。


 最後に来たのは…数年前だ…『彼女さん』と来たのだ。


 久しぶりに来た……「うん?」

 メニュー薄くないか?

 というか…メニュー減っている。

 オムライスとかあったはずだが…ねぇな…。


 味は昔の懐かしい味。

 客も「美味しい」と言ってくれたのでOKだ。


 メニューは、きっと高齢で減らしたのだと思う。

「ハンバーグに芋を入れ忘れた」

 付け合わせの芋が後から出てきたり、なんともアットホームというか…。


 客はどう思ったか知らないが、僕は懐かしい気持ちになった、と同時に寂しい気持ちにもなった。

 いつか店も無くなるのだろう。


 時間は今を記憶に変える…今夜、食べたハンバーグも思い出に変わる。

 きっと、それでいい。

 寂しいことかもしれないのだが…きっと、それでいのだ。

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