第50話 桜の隣で…
世の話題は『桜』である。
嫌いじゃないし、美しいと思う。
取引先に行く途中、時間調整で河原を歩いた。
桜の木が並ぶ河原、皆、上を見上げて桜を見ている。
「………」
誰にも気づかれないまま、名も知らぬ小さな花が咲いている。
なんでこんなところに咲いてしまったのだろう?
花は美しい姿を誰に魅せる?
誰にも見られないまま散るのだろうか?
魅せず…見られず…。
指先で花を撫でて
「僕は…見たよ」
その1瞬だけかもしれない…だけど、名も知らぬ小さな花は、僕に魅せてくれたのだ。
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