第33話 接客

 個人で経営している美容院。

 僕が通っている美容師には娘がいる。

 自宅兼店舗のため、娘がたまに顔を出す。

「イヤリングしてー」

「今、お客さんいるから後で」

「別にいいよ、してあげれば」

「すいません…もう…」

 少しイライラしながら美容師の母親が娘にイヤリングを付けていると、娘がヒョコッと顔を出して

「少々、お待ちくださいませ」


 思わず笑ってしまった。

 この美容師も学生の頃から知っているが大分、自由人であった。

 僕が人の事は言えないのだが…。


 この娘も、中々の資質を秘めている。

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