ある朝、家の前で火星人が死んでいた…
流僕
ある朝の出来事
ある朝、彼女の家の軒先に火星人が死んでいた。
「まずいことになった…」
だが、第一発見者が俺でよかった。
腕時計を見る8時23分。
顔を上げ辺りを見渡す。
よかった、まだやつは来ていないようだ。
「誰だ!こんなところにコレを置いたのは」
部下の一人が慌てた様子で答える。
「わからないです。誰かが間違えて」
「さっさとかたずけろ」
部下は火星人を運ぼうとするが、なかなか手こずっている。
「どうした、急げ。早くしないとやつが来るぞ!やつが来たら俺は上に対してなんて報告すればいいんだ」
「すみません。思った以上に重くて」
「応援を呼んで来い!」
数分後、大きな台車をもって部下が数人来た。
「いいか、傷つけるなよ」
せーの、と言って彼らは台車に火星人を乗せ、
運んでいく。俺もそれについていく。
ふー、よかった。
何とかやつが来る前にかたずけることができた。
時計を見ると8時34分。
今回のドッキリの対象になる女性タレントはあと数分でここに着く予定だ。
早朝のバラエティー番組を終えた彼女が自宅へ帰ってくると、
数メートル離れた場所に
突然上から火星人の人形が落ちてくるというドッキリだ。
火星人の人形は彼女の家の隣のマンションの2階から落とされる計画になっている。
それにしても誰があの火星人の人形をここに置いておいたのだろうか、
まったく、後でちゃんと注意しておかないと。
ゴールデンタイムの番組だというのに。
それにしても…。俺は台車に乗った火星人の人形をのぞき込む。
「よくできた人形だな」
触れてみる。冷たい。素材はゴムだろうか。すごいな、触感まで作りこまれてる…
「最近の美術スタッフは凄いな」
一人で感心する。
「監督!そろそろ時間です」
そう言われて俺は慌てて時計を見る8時39分。
さあ、彼女は来るかな…
($~"::*)
モニターに映るのは地球の偵察を行っていた仲間の静止画。
その者の画像の上に赤い文字列が表示されている。
「+/-^*"'&{!?」
「|'("+*`*S!!」
宇宙船の中で火星人たちは慌てていた。
地球の偵察を行っていた者と、
数時間前から連絡が取れなくなっていた…
ある朝、家の前で火星人が死んでいた… 流僕 @Ryu-boku
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