5月初旬頃の近況報告?

 登場人物? の年齢が節々に感じられるオヤジギャグ的ダジャレはご容赦下さい。

 また、どこまでが実話かはご想像にお任せします。


 ■■■■■■■■■■


 運動不足だ。その事はわかっている。

 何せ体重が過去最高になってしまっているのだ。

 見過ごしたいが見過ごせない。


 何せ今の生活、動かない。

 下手すれば一日中、一歩も家の外に出ない。


 仕事はコロナ以前から在宅だ。

 飯類の買い物は週に一度大量に買ってきて冷凍庫に投げるスタイル。

 100リットル超の冷凍庫様が鎮座しているので問題無い。

 つまり外に出なければならない必然性がない。


 そのおかげで気がつけば体型が鏡餅。

 妊婦ではなくおっさんなのに。


 これはいかん、運動しなければ。

 そう言ってもなまりきった鏡餅にランニングなんて事は出来ない。

 すぐ息があがってしまうだけではない。

 ヘビイな体重で膝を壊す虞があるのだ。


 だから今日は歩こう、思い切り。

 幸い今日は祝日、おっさんが1人歩いていても不自然ではない筈だ。

 不審者として地域に放送されてしまうこともないだろう。


 よし、それでは出かけるとしよう。

 洗面して服を着替えて外に出る。


 スマホに表示された無料星占いによると、本日の吉方向は南。

 だからとりあえず南方向へ向かって歩き出す。

 そう言えば最近、近くの里山が整備され遊歩道が出来たとあった。

 あれは南方向だし、そちらへ行ってみよう。


 ◇◇◇


 2時間半後。

 疲れ切った私はようやく家の近くまで行くバスの停留所を発見した。

 

 本当はもう少し手前で終わらせるつもりだった。

 しかし家の最寄りまで行ってくれるバスがこの時間走っていなかった。


 もちろんバスを乗り継げば最寄りまで帰れる。

 しかし貧乏性の私としてはバス代を2回も払うなんて許せない。

 だから必死に歩いてここまでやってきたのだ。


 停留所にある時刻表を確認。

 ここの停留所には間もなく目当てのバスがやってくるようだ。

 正直はやく座りたい。

 疲れが結構キている。


 バスがやってきた。

 220円を払って乗り込む。

 運良く座席が空いていた。

 シルバーシートだけれど立っている人はいないし問題無いだろう。


 私は座席に深く腰をおろす。

 ほお、楽園だ~ 天国はこんなに近くにあった~


 バスは結構荒い運転で走る。

 うむ、これなら私の方が丁寧な運転をするなと思う。


 これでも私、大型免許を持っているのだ。

 仕事場でマイクロバスを運転する必要性に迫られて取得したから。

 古い時代の大型免許なのでけん引や大型特殊以外は乗り放題だ。

 流石に二種免ではないけれど。


 そんな事を思いながら車窓を眺め、そして次の停留所が家の最寄りとなった。

 私は降車ボタンを押し、立ち上がろうとする。


 その瞬間、衝撃が走った。

 私の心にではなく腰骨付近に。


 いかん、これはギックリマンだ、いやギックリ腰だ。

 オヤジギャグで誤魔化そうにも痛くて力を入れられない。


 ギックリ腰、今まで2回しかなった事がないので油断していた。

 まさかこんな場所でなるとは。

 予想外だ本当に。


 まずい、早く立たねば目的の停留所が来てしまう。

 焦っても腰が痛いだけで動けない。

 このままでは駄目だ。


 試行錯誤という事で重心を後ろに持って行ってみる。

 クリティカルヒット!

 おっさんは10のダメージを受けた!

 駄目だった、痛いだけだった。


 バスが減速を始めた。

 ヤバい、もう時間がない!

 今度は重心を前に持ってくる。

 更に左手で握り棒を、右手で座席の座面を押して体重を支える。


 立て! 立つんだジョー!

 いやこれは古すぎる。

 なんて下らない事を思いつつも私自身は真剣だ。


 きっとみっともない格好をしているのだろう。

 しかし立たなければ停留所で降りられない。 


 その時だ。

 奇跡が起こった。

 運転が荒いおかげか、バスが一瞬大きく横揺れしたのである。

 

 ふっと足に体重が乗った。

 尻が座面を離れる。

 立った、立ったぞ、ク●●が立った!

 いやこれは余分だがとにかく立つ事が出来た。


 しかし腰の挙動はやはり怪しい。

 握り棒を全力で握って何とか立った姿勢を維持する。

 姿勢は二足歩行をはじめたアウストラロピテクス。

 しかしそんな事を気にしていられない。


 バスが停まった。

 扉が開く。

 幸い優先席は扉のすぐ横。

 立てている今の姿勢を維持する事を意識しつつ、注意深く降りる。


 足がアスファルト路面についた。

 そのまま立った姿勢を維持する。

 ガン●ム大地に立つ! いや違うか。

 でも何とか無事に降りることが出来た。

 

 さてこの先家まで歩けるだろうか。

 アポロ11号アームストロング船長くらいの注意深さで私は一歩を踏み出す。

 大丈夫だ、歩ける。


 私は安堵感に浸りつつ、腰の挙動に注意しながらゆっくりと家路を辿るのだった。

 もうバスに乗っても座らないようにしよう。

 そんな教訓を胸に抱いて。

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