旅 (「眠る」改作)

白いシーツの 海が呼ぶ

流れ流れて 夢の街

僕の居るべき 世界だと

訪れる度 いつも思う


いつもいつでも 現実は

いつもどこだか よそよそしい


僕は静かに 目を閉じて

遠い世界に 思い馳せ


今日はどこまで 行こうかと

どんな世界が あるのかと


静か静かに 息を吸い

静か静かに 息を吐く


薄霧晴れて 見えてくる

この世界では 主人公


野菜を片手に 老婦人

パッと笑顔で 手を振って

おかえりなさいと 手を招く

僕も笑顔で 手を振って

彼らと共に 歩き出す


虹色小麦の 大平原に

浮かぶ鯨に 亀の城


ゆらゆら揺れる 城壁の

門を潜れば 宙に浮く

壁を歩いて 飛び上がり

鯨に向かって 手を伸ばす


掴んだそれは 小さなイワシ

世界はぐるり 海の中


イワシがおいでと 指をさす

遠く広がる 青の海

腕を大きく 回してさ

泳いでいると 指と指

水かき生えて カッパの手


大きく息を 吸いこむと

赤や黄色の 魚たち

一緒に泳いで 競争だ


暗い洞窟 飛び込むと

右に左に楽器隊

ラッパだ鳴らせ パラパッパ

ドラムロールが 鳴り出すと

鐘の音色に 鈴の音


兵隊さんが 扉を開く

真っしろ光の その向こう

どうやら朝が 来たようだ


うるさく聞こえる 目覚まし時計

止めて大きく 伸びをして

夢の続きを 見たいけど

大きくあくびで 立ち上がる


さあさ勇者の 出陣だ

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詩片 王滝 木経 @otaki_kitsune

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