第54話 口止め料ですか?
昨晩は葉月ちゃんに目一杯愛されてしまい、幸せを感じていました。僕は防戦一方で押し寄せる快楽に必死に抗い、葉月ちゃんに負けないように頑張ったけれど無理だった。甘々に溶かされてしまい、最後は葉月ちゃんに母性を感じてしまったのでした。
葉月ちゃんと一緒に婚約指輪を買いに行くのは来週の週末になりました。どうやら口座にお金が振り込まれるのに時間が掛かるようです。当選したらすぐに振り込まれると思ってたけど、そうじゃなかったようです。
さて、今日は紫苑さんのところでアルバイトです。お金の心配は無くなったけど、色々とお世話になったので辞める訳には行きません。ちなみに、今日の運勢はこんな感じです。
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※今日の運勢※
見識を広げられる良いチャンスです!
占いの結果にもあるように、このアルバイトは色々な社会人、それも超一流企業に勤めている人を見ることが出来るのです。良い社会勉強にもなると思うので精一杯頑張ろうと思います。
◇
自宅から電車で30分ほど移動した都内にあるファミレスで、美人秘書の
有名なチェーン店のファミレスへ入りフロアを見渡したけど、優香さんはまだ来ていないようでした。店内も混雑していないようなので4人用の席に座り、ランチメニューを注文しました。よし、暇だから間違い探しをやろう。このファミレスはキッズメニューに間違い探しがあり、合計で10個の間違いがあるのです。
しばらく間違い探しを頑張ってみたところ、7個の間違いを探したところで優香さんがやってきました。残りの3個が全然見つからなかった……。
「おはようございます師匠。今日はよろしくお願いします」
「あ、おはようございます。その師匠って何ですか?」
1週間ぶりに会った優香さんは、色気が増していた。以前会った時は目付きが鋭くて冷たい印象を与えていたが、今日の優香さんは目元が柔らかい感じがして親しみを覚える。ビシッとしたスーツ姿に赤いフレームのメガネ、髪を後頭部でまとめた姿はまさに美人秘書という言葉がピッタリな女性というのは変わらないが、目元が柔らかくなっただけで優しいお姉さんな印象が強くなった。一体この1週間で何があったんだ? そもそも師匠ってなんですか?
「師匠のお告げにより、全部上手く行きました。もう毎日が幸せです!」
「……あ、はい」
どうやら僕の占いによって幸せ一杯なようです。僕も幸せ一杯なので気持ちが良く分かります。そうか、優香さんは『ヒナタちゃん共有ハッピーエンド【妾だっていいじゃない! 幸せだもの】』ルートに入る事が出来たのか。ゴリゴリマッチョのバッドエンドじゃなくて良かった。兄貴は……きっと幸せだよね!
「師匠はお昼ごはん注文しましたか?」
「うん、さっき注文したからそろそろ来るかも」
「じゃあ私も注文します」
もう1週間前とは別人だ。恋をするとこんなにも女性は美しくなるのだろうか? よし、こっそりと鑑定しちゃおうかな! 今日の運勢で見識を広げられるって書いてあったし、これも社会勉強です。神様神様、1週間前のあの日に優香さんがどんな事をしたのか教えて下さい~。こんな事を考えながら鑑定してみました。
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天王寺家を支える陰の立役者である港家のご令嬢32歳の独身です。
身長175cmと女性にしては身長が高いが、スラリとしたモデル体型は男女を魅了する。恋をして目元が柔らかくなりました。
その日、彼女に転機が訪れた。自分の人生に絶望していた彼女に、天啓が降りたのである。
中野薫から提示された内容には驚愕したが、全て当たっていた。更に当主である紫苑様から了解が得られたのだ。これ以上に心強いものは無い。
そして夕方に帰宅した楓に全てを打ち明けた。自分がヒナタを愛している事、エロ本のような事をしたいという思い、そして自分が楓の部屋にエロ本を忍ばせた事を……。
彼女は思った。全てを打ち明けたは良いが、拒絶されるかもしれない。しかし、彼女の不安は杞憂だった。楓は大手を広げて歓迎したのだ。
そして楓は言った。『正妻は譲れません。ですが、今夜は歓迎会をしましょう。本当は明日まで拘束して置く予定でしたが、まあ良いでしょう』と。彼女は32年生きて来て、これほど感動した事はなかった。それくらい嬉しかったのだ。ちなみに、ここ数日やたらとヒナタがモジモジしていた理由が分かった。アソコを拘束され、自分じゃイケないように管理されていたのだ!
薫が帰ってからしばらくした後、彼女は楓の寝室に呼ばれた。楓からは『決して声を出してはいけません』と言われたのだ。これから行われる歓迎会に、心臓が飛び出しそうなほど緊張していた。
部屋に入った彼女は、思わず声を上げそうになった。ベッドの上には裸の状態で四肢をベッドに拘束された愛する人、ヒナタが居たのである。彼は目隠しをされ、弱々しい声で楓の名を呼んでいる。その声を聞いただけで濡れてしまう。
そして始まった楓の
どれくらいの時間が経ったのか分からなくなった時、楓から合図があった。『ヒナタちゃん、これから自由にさせてあげるけど目隠し取っちゃダメですよ? 守れますか?』という言葉を聞いた瞬間、理解してしまった。
そして私はベッドの上で四つん這いになり、彼が来るのを待ったのである。背後から聞こえる興奮するヒナタの荒い息を聞きながら、32年間守って来た乙女を捧げるのだ。そして、幸せを全身で感じるのだった。
事後、目隠しを外されたヒナタは放心していた。彼女だと思ったら違う女性だったのだから……。彼女の目の前で浮気をしてしまったのだ。
そして彼は、楓から『これからは二人で愛してあげますね』という言葉を聞き、美女二人によってドロドロに溶かされていくのだった。
※今日の運勢※
間違い探しで困っている師匠を助けてあげましょう♪
「エッッッッッ!」
「どうしたんですか師匠? あ、間違い探しですか。私得意なんですよ任せて下さい」
僕が鑑定結果に興奮していると、手に持った間違え探しが載っているキッズメニューを取られてしまった。あと3つの答えが分からなかったから良いけどね……。
それよりも鑑定結果です。あの夜、兄貴は女子高生と美人秘書さんの3人でお楽しみだったのか……。羨ましいと一瞬思ってしまったけど、僕には葉月ちゃんだけでお腹いっぱいです。ハーレムなんてラノベだけで十分です。
兄貴は縛られる行為が基本的のようだ。確か修二も玲子さんに縛られたって鑑定結果があったよな。僕もちょっとあのエロ本の内容が気になっていたのだ。僕がベッドに拘束され、葉月ちゃんにドロドロに溶かされていくのはどんな感じなのだろうか? こ、今度お願いしてみようかな!?
「はい、分りました」
「え、分かったの!?」
頭の中で妄想してた僕の拘束プレイを、この美人秘書さんがOKしてくれたのかと思ったけど、良く考えたら間違い探しが分かったって事のようだ。僕が妄想している時間で全て見つけるとは、この美人秘書さんは優秀なのか!?
「間違いはまずこの屋根の色、風船のヒモの長さ……」
「……しゅごい」
美人秘書さんが順番に答えを教えてくれました。まさかキッズメニューという文字のところまで問題になっていたなんて……。
そしてしばらくして運ばれてきたお昼ご飯を食べて、一休みです。ここで軽く打ち合わせを行います。
「師匠にはこのノートパソコンを渡しておきます」
渡されたPCは小さくて薄い軽量型で、必要最低限の機能が入ったやつです。美人秘書さんに言われた通りにPCを操作させてエクセルファイルを開くと、今日の鑑定するメンバーの顔写真と軽いプロフィールが書いてありました。そして僕が鑑定結果を記入する欄も既にありました。もしやこの秘書さん、有能か?
今日の鑑定する人数は20名です。一人10分としても3時間ちょっとですが、そんなに時間は掛からないでしょう。面接という名の人事相談らしく、今の職場の不満等を聞き取るという名目で集められるそうです。面接というよりも面談に近いね。既にある程度怪しい人はピックアップ済みなようです。
美人秘書さんに聞いたところ、どうやら天王寺グループが大きくなりすぎた事により、良くない事を考えている人間がいるそうです。過去にはライバル企業に情報を横流ししていたりする人も居たそうで、そういう情報や証拠が分かれば助かるとの事でした。
僕のお仕事は、やましい事や不正、つまり所属している会社に悪影響がある事をやっていないか教えてくださいって感じで神様に祈って鑑定すれば良いのだろう。きっと神様が上手いこと汲み取ってくれるはずだ!
「奥様からは師匠に任せておけば大丈夫と言われましたが、本当に可能なのでしょうか……?」
美人秘書さんが不安そうな顔で見つめてきました。赤いフレームのメガネが妙にエロく見えるけど、騙されないぞ!
どうやらこの美人秘書さんは、まだ神様の鑑定を信用できないようです。占いの神様のお陰で幸せになったと言うのに、ちょっと思い知らせてあげる必要がありそうですね。
神様神様、この美人秘書さんのやましい事や不正、会社に悪影響がある事をやっていないか教えてください~。そんな事を考えながら鑑定してみた。
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天王寺家を支える陰の立役者である港家のご令嬢32歳の独身です。
身長175cmと女性にしては身長が高いが、スラリとしたモデル体型は男女を魅了しする。恋をして目元が柔らかくなりました。
この女、楓の寝室に隠しカメラを仕掛けています。そしてヒナタの行動を隠し撮りし、コレクションを作っています。
隠しカメラの設置場所は、PCモニターの下、タンスの上にあるクマのぬいぐるみの中、エアコンの上、テレビ台の下です。
コレクションの隠し場所は、彼女の自室にあるPCのマイドキュメント内の『新しいフォルダー (13)』で、パスワードは『hinata4545』です。
一番のお気に入りは、ヒナタが一人でお楽しみなところを盗撮した『ヒナタちゃんエチエチ最高!!!』というファイルです。
「いま優香さんがやましい事や不正、会社に悪影響がある事をやっていないかを神様に聞いてみました。その結果がこれになります。やましい事っていう項目に引っかかったのだと思います」
僕は借りているPCのエクセルファイルに新しく優香さんのページをコピペで作り、鑑定結果を入力した。そしてPC画面を優香さんへ見せたのだ。
「私はまだ師匠の事を信じきれていなかったようです。これからは心を入れ替え、占いの神様を崇めて生きて行く所存でございます」
PCの画面を見終わった後、驚愕の表情を浮かべた美人秘書さんは僕に向かって大きく頭を下げた。ちょっと周りの視線が痛いのでやめて欲しいです。それに心を入れ替えても盗撮をやめる気が無さそうです。まあ良いけどね!
そうして僕たちは、事前打ち合わせを終えて今日の仕事場へ向かうのだった。ちなみに、お昼ご飯は美人秘書さんが支払ってくれました。口止め料だそうです。ごちそうさまでした!
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