第5話 勇者は先輩と淫れた関係になる②

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 ウチ・藍那紗里奈は高校2年の特進コースで学年でも5本の指に入る成績上位者やねん。

 とはいえ、ウチのこの美貌にやられて幾度も殿方から告白をされてきた。

 でも、ウチは生まれて物心を突き始めたころから、変な記憶に悩まされとった。

 それはウチが、剣と魔法の世界で魔法使いをしとって、勇者と一緒に魔王殲滅に出かけてたっていう、今思えば、おかしな話やと思ってしまうようなことやった。

 せやけど、ウチはその違和感が、違和感やのうて、何やリアルの様に思えてしもたんや。

 一個下に神楽が入学してきたんも、ちゃんと知っとったから、まずは神楽の幼馴染の江奈っちゅう子に近づいて、仲良うしてもろうて、何や問題が起こった場合は、相談に載るさかいにウチの部室まで来てや、と紹介しておいた。ちゃんと根回しはしとったから、別に今、神楽が来たことに対しても、何も驚いてはおらんかった。

 せやけど、ああ、この匂い、久しぶりやわ……。

 ウチは江奈がかかってる「神楽のことを考えると性欲が上昇してしまう」っちゅう呪いのことはすでに知っとったんや。

 中学時代に江奈と遊んどる神楽を見て、えろう嫉妬してしもた。

 そのときに、急にドキドキと一緒にが起こってもうて、最初は身体の変化に気持ちが付いていってへんって正直戸惑ってしもたけど、いざ、神楽のことを思いながら、自慰行為にふけてしもたら、すぅっと気持ちが落ち着いてん。

 そこでウチは気づいてしもうてん。


 ―――やっぱり神楽はウチの本命やわ……、て。

 

 そんな神楽が今、ウチの目の前におる。

 ウチのいやらしい肢体をジロジロと眺めとった。


「そんなに見られたら、ウチのあそこ、おかしくなってしまうやん♡」

「……はぁ!? せ、先輩!? み、未経験のボクには何のことか分からないんですが!?」

「何や、童貞やったん? せやなら、ウチがそれ貰たろうか?」

「はぁ!? ちょっと? 先輩と俺とは初対面じゃないですか?」

「そうやね。神楽にはそうなんやろうけど、ウチは実はちゃうねん」


 そういうと、ウチは至近距離で神楽の顔をマジマジと見つめる。

 うん。いつ見てもウチの好みの顔やわ。

 ウチは両手で、神楽の頬にそっと手を添えた。


「今から、思い出させたるさかいに、リラックスするんやで」


 そういうと、ウチはそのまま神楽の唇に自分のそれを重ね合わせる。

 神楽はウチの突然の口づけに狼狽えるように後退り、そのままウチが押し倒した感じに馬乗りになってしもうた。

 動けなくしたうえで、ウチは濃厚なキスをし始める。

 ……んちゅ……ちゅぱぁ……んちゅ……ちゅちゅ……

 魔王討伐の前日の魔王城の一室で抱き合った以来の神楽とのエッチなキス。

 あの日はお互いが最終決戦の前ということもあって、緊張と興奮が醒めへん状態やった。

 その興奮をお互いが性行為というもので、無茶苦茶にしあった。

 しかも、ウチはあの日、ちょうど『できてしまう』日やった。

 魔王討伐が終われば、絶対に幸せな家庭を築こうと思とったから、何度も何度も重なり合った。

 ウチの呼吸が止まってしまいそうになるくらい、攻めてもろた。

 間違いなく、あの日、ウチの身体の中には、ひとつの命が宿った―――。

 せやけど、運命の歯車は意地悪過ぎた。ホンマに神様なんて、意地悪やと思うた。

 ウチの描いたそんな幸せを実現させてはくれへんかった……。

 魔王との戦いは相打ちに終わり、そのままウチらは死んでしもうた。

 せやから、転生したこの世界で、絶対に神楽と結婚したるんや!

 それがウチの最高の幸せやさかいに――――。

 ウチらのキスは思っとる以上にお互いの情報を共有させてくれた。

 前世でのお互いの関係を、神楽に流し込むには十分すぎるほどの、口づけをしてしもうた。

 ウチは満足そうに唇を離すと、呆然としとる神楽に微笑んだ。


「どう? ウチのこと、思い出した?」

「……え……あぁ………」


 神楽は何んや気まずそうな表情をした。

 ウチらがもともと前世で肉体関係を持っていたということにショックを受けたんかもしれへん。

 せやけど、ウチはそんなん気にせぇへん。

 目の前におるのは、ウチが一番好いてた、神楽なんやから。


「……先輩って……」

「そうや。ウチはあんたと一緒に魔王討伐で戦った魔法使いのシャリーナ・オコンや。もちろん、あの頃は関西弁やのうて、標準語をしゃべっとったけどね。転生したときに、ウチは神楽の住んどる場所から遠く離れた京都で産声を上げたから、ずっと会えへんことに対して、腹立つんと同時に会いたいちゅう思いも強くなってきたんや」

「……そんなに?」

「せやで。それに久々に神楽の匂いを鼻にして、ウチの身体が疼いてしもうたわ……♡」


 ウチはハァハァ……と荒い吐息を漏らしつつ、恍惚な表情で神楽の獣と化したものをそっと撫でる。


「―――――!? ちょ、ちょっと先輩!?」


 神楽は案の定、童貞らしく敏感に身体を震わせた。

 ウチの下腹部は、キュンキュンと疼きが激しくなり、止まらなくなってしまう。

 そっとスカートをめくりあげる。もちろん、下着など履いてへん。

 こうなることは予想できてたから。


「なあ、ウチとせぇへん?」

「はぁ!? いや、今日、初めてお会いしましたよね?」

「せやから、前世でいっぱいセックスしてるって言うてるやんか!」

「い、いや、だからと言って、現世では初対面じゃないですか?」

「何でそんなに冷たいん?」

「い、いや、普通に道理からすると、ここは学校だから性行為をすれば、退学処分もあり得ますよ!?」

「そんなん気にしてるん? ここに来るときに気づかへんかった? 周りの同好会はほとんど活動してへんから、この部室棟の5階なんか誰もうへんで?」


 ウチはそう言いながら、神楽のカッターシャツに手を掛ける。

 ボタンをプチプチと外していくと、白いシャツが見えてくる。

 そのシャツをガバッと脱がし、ウチは頬ずりをする。

 あの頃に比べると、肉体的にはお子様になってしもてるけど、それでもウチにとっては最愛の人の身体やから………。


「さあ、決心できた?」

「できるか! そんな簡単に童貞捨てるのもどうかと思うぞ!」

「何を言うてるん! 世の中には童貞捨てられずに困ってる男もぎょうさんいてるいうのに」


 あ、今のは世の男性に失礼か……。

まあ、そんなことはどうでもええねん。

ウチにとってはそんなことどうでもええ。今は目の前におる神楽と交わりたい。

 ウチはそのまま、左手で器用に神楽のズボンのファスナーを下ろして、獣を握りしめる。


「うあっ!?」

「なんや情けない声出して……。ほな、行くで」


 ウチは抵抗しようとする神楽を受け止めようとした。

 刹那。

 神楽はビクビクッと身体を震わせる。

 これって、さっきキスしたときに神楽から流れ込んできた「呪い」?

 白目を剥き、「うううう……」と呻き始める。

 が、ウチはそれを何とかせなアカンと思いつつも、自身の身体も軽く痙攣してしまった。

 さっき、神楽が身体を震わせた瞬間に、ウチの身体は神楽の獣を受け入れてしもうた。

 濡らしてたウチも悪いけど、暴れん棒な神楽も悪いわ……。


「はぁ……♡」


 ウチは甘い吐息を漏らしつつ、恍惚な表情を浮かべ、背中を仰け反らせてしまう。

 か、軽くイってしもうたやん……。まだ、小刻みな震えが収まらへん……。

 やっぱり、神楽は神楽やわ……。相性も最高やし、ウチの気持ちいいところまでズシッと攻めて来よる。

 と、同時に神楽が再び、ガクガクッと身体が痙攣する。


「……ひぅんっ♡ はぁうん♡」


 その反動で、さらにズンズンッ! と奥まで獣が襲ってきた。

 アカン……。このままやったら、大きな声が出てしまう。

 ウチは神楽を抱きしめるようにして、キスをする。

 舌をレロレロと神楽のものと絡ませて、唾液がねっとりと絡み合う。

 その間にも神楽の身体の痙攣で、ウチの身体は何度かビクビクッと震えあがる。

 白目を剥いていた神楽の瞳に力が戻る。が、気絶したままで返事が曖昧なままだった。


「……うぅん。神楽、リセット出来て良かったなぁ……」

「…………………」

「でも、もうアカンねん! ウチ、止まらへん!」

「…………………」

「もう、ええねん! 一緒に気持ちようなろう?」

「…………………」

「いい方だけとちゃうで、お互いの身体が欲しがっとるんやもん♡」

「…………………」

「―――――!? 一回り以上獣がパワーアップしよったやん! ウチも果ててまうわぁ……」

「――――――!?!?!?」


 ウチは神楽を逃がさんよう(気絶してるから逃げへんけど)に、ギュッと抱きしめて、獣から吐き出された欲望を受け止めた。

 ウチの全身もビクビクッという痙攣が最大になり、一瞬呼吸が止まってしまったような錯覚に陥った。

 ウチも果てたように、くたぁ…と身体を神楽に預けた。


「ホンマにウチは神楽のことが好きでしゃあないわ……」


 そう言うとウチは、気絶したままの神楽に軽くキスをした。

 前世でやっていたいつものように――――――。





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作品をお読みいただきありがとうございます!

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