第2話 日中でもモブの周りは暗い

 学校に着くと僕は駐輪場に自転車を止め、大抵は教室に着くまで誰とも会いませんようにと心の中で唱えている。これは高校になってから始めてのことであり、僕自身もびっくりしている。中学の頃はこんな事を微塵も思った事は無かったのに、何故か僕は高校に入学して人を怖がるようになっていた。


 教室に入ると先に来ていた友達とすれ違っても、挨拶をせずに自分の席に直行する。そしてカバンを机の横に掛け、しばらくフリーズすると、心配症の僕はすぐさま持ち物が揃っているかチェックし、朝提出すべき物を机の上に揃えて友達のところへ行く。

 友達の席に来たときは、既に円を作って何やら楽しい話をしている。遅れてきた僕にはその話が何なのかは分からない。


 日によって授業の間の休みは何をするかは変わってくる。その日の授業に小テストを実施する授業があった場合は1人でそのテストの勉強をすることが多い。後の授業に小テストが無かったりすると、僕は友達と8人ぐらいで集まって雑談をする。そこで偶に人の愚痴や人をバカにするようなことをコソコソと話す時がある。恐らく、一緒に話しているみんなが愚痴の対象を嫌っているとは思えないが、僕は嫌いな人ができたことが無いから愚痴を言う人の気持ちが分からない。多分僕に嫌いな人ができないのは自分の事が嫌いだからかな?


 お弁当を食べる時はみんなで一緒に食べる。やっている事は授業間の休みと大して変わらない。


 午後は眠いね、昼食をとったあとの授業とかは本当にきつい。

 放課後は僕の中で1番仲のいい友達と残って勉強することがある。あくまでも僕の中での1番ね……何でか僕はこんな事ばかり気にしてしまう。僕は多分誰かの1番にでもなりたいんだろう。ここら辺は僕も自分がよくわからない。

 クラスには学級委員長という存在がどこにでもいるだろう。もちろん、僕のクラスにもいる。彼は僕が入学したときから委員長になるだろうなと思っていたぐらい、まさに委員長という雰囲気を醸し出している。だがそれと裏腹にとても天然な一面がある。でもそれ以外は完璧だ。学園小説を書くときがあったら、僕は彼がモデルの委員長を書くだろう。そんな委員長は誰にでも優しい、僕のようなモブにも話しかけてくれる。とても尊敬できる人だと思う。


 僕は学校では恐らく存在感が薄い。急に居なくなっても誰も気づかないかもしれない……こんな事を考えている時点で僕は頭がおかしい。

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