6

どうしようもなく欠けているからきみで満たして欲しいのだと気づく


あのお店また行きたいと君が言い馬鹿馬鹿しいほどシンクロニシティ


跪く私の髪を撫でてゆくあなたはきっと切なげな顔


プラセボと回路のバグを恋と呼び可愛い君と駆け抜ける夏


自分でも子供じみてる気がしてる時間が止まる道具が欲しい


満たされて背中に注ぐキスの雨どれだけ甘いか君は知らず


細胞に残る余韻は覆いたるわれの身体を蝕んでいる


寝息すらジップロックで保存して冷凍庫にしまっておきたい


背後に降る溜め息の甘さが私を溶かしていく雨が降る夜


抱かれたい衝動ひとつ堪えずにすべてはきっと夏のせいだ


傲慢に外されてゆくボタンたち剥き身になった私を嗤う


アイリーン・アドラーみたいに傷跡を残せる女になりたかった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る