八手嵐佞童話詩集

江坂 望秋

もう一つの月

 夜空を見上げると光っているもの、月。


 その周りに散って輝いているもの、星。


 月の隣に一際大きく、明るく、綺麗なものが浮かんでいた。


 よぉく目を凝らすと、ちょっとずつ、ちょっとずつ、それは此方へ近付いてきていた。


 『あれは、隕石だ』


 東の方へと導かれる大きな隕石。


 『あっちは東京だよ』


 とうとう地球とぶつかって、僕は東に赤を見た。


 『一体、何人死ぬのだろう』


 音も衝撃もなく、僕は生き残っていた。



 太陽は溌剌と昇ってきたが、昨夜の大きなよりは何もかもが劣って見えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る