第20話 運命は、回り始めて。。。
市神は、何の疑いもなく携帯を手に取っていた。まずは、事業所に連絡を入れたが、通じなかった。今まで、興味があった。高野蓮。何か、彼には、特別な背景を感じていて、いつかは、明らかにしたいと思っていた。三那月は、市神の親の代から、勤めていて、信頼があった。医療に身を捧げていて、どんなに大変な現場にも立ち会ってくれて信頼の厚い看護師である。正義感も、強く、医師である市神が、叱咤される事もよくあった。そんな三那月は、よく、紗羅の事を気にしていた。この土地には、化学では、割り切れない出来事が、よくあった。
「払いましょう」
よく言った。三那月の勧めもあって、紗羅のいる事業所によく関わる様にしていた。三那月は、紗羅を気にしていたが、自分は。。。
「あぁ。。」
高野蓮の携帯に発信した。自分の勘が、呟いている。沙羅なのか?いや。。違う。何か、特別な事が起きている。
「お前は、守られているから」
家族が、よく言っていた。ギリギリの所で、守られてきた自分の命。きっと、沙羅や高野達と関わる事で、とんでもない事に巻き込まれるだろう。だけど。。。
「どうなっているのか、教えてくれるか?」
そう、携帯に出た高野蓮に言った。時折、見せる高野の顔。沙羅の人間とは、思えない姿。この土地。そして、
「三那月くん」
市神は、他の看護師達に、倒れている患者の対応を指示しながら、部屋の隅に呼び出した。
「僕に、教えてくれる?」
「何をですか?」
三那月は、ゆっくりと微笑んだ。
「僕も、そう、鈍感ではないと思うけど」
本当の事を言え。市神は、三那月の顔を見つめた。
「先生。私も、先生も同じ。。。ですよ」
三那月は、同じという箇所に力を込めて言った。
「守られている?と思った事は、ありませんか?どうして、守られているのか?誰も、教えてくれなかったのですか?」
自分が、思っていた事を口に出されて、ますます疑いは、深くなった。
「先生。私達には、必要なんです。だから。。。守っている」
三那月の表情に別な顔が見え隠れした。
「今、わかりますよ。この血を、この土地を守るのは、先生の役目なんですから」
三那月が、言い終わらないうちに、光がほど走り窓ガラスのガラスがあちこちに飛び散った。耳をつん裂くような音が、響き渡り、辺りは、白い空間になっていた。
「思い出してください」
何もない、空間に、三那月の声だけが響いていた。
「先生には、親も祖父もいない。。先生だけなんです。」
頭が、混乱した。自分には、親がいる。同じ医師で、ずーっと、ここで、働いていて。
「先生。黄泉路の入り口があるって、先生が、見つけて。。。」
「黄泉路?」
目がくらくらして。思い出せない。
「先生が、始めたんですよ」
そう。。。市神は、風と、思った。そうだった。始めたのは、自分。黄泉路を閉じて、歪んだこの地を元に、戻さなくてはならない。信徒?達が、この地に集まったのは、全て、自分の行った事だった。
「でしょ」
三那月は、満足したように微笑んでいた。
「先生。始めましょう。鬼退治を」
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