第13話 水晶が割れた⁈
夕方になり、閉店まじかの最後の占いの客が終わったころ。
空いた部屋から掃除に取り掛かっていた美空が、異変に気が付いた。事務室の棚に飾ってあった水晶が、何もしないのに突然真っ二つに割れたのだ。「た、た、大変。翔也君」
客がドアの外にでるのを見届けてから慌てて駆け寄る。
「今しがた、すごい衝撃を感じたんだけど」机に座って、片づけの途中の翔也が言う。
「翔也君、水晶が」美空の尋常ではない慌てぶりと、指さす方向が水晶と聞いて慌てて隣の部屋に行く。
「これって」半分に割れた水晶を手の平にのせる。
「洋子さんに、何か悪いことがおきたのかも」美空は、ノートに書いた名前を憶えていた。
連絡先もしらないのにどうしたらいいものか。二人しばらく思案していた。
そして、先に口を開いたのが美空だった。
「師匠に相談してみたら」それには、賛成だったがわざわざ一線を退いた婆ちゃんをかり出すのも、悪いような気する。
「とにかく、何が起きたかつきとめないと。この水晶が勝手に割れるなんてよほどのことだから…」
「わかった。電話をかけてくれないか」自分で話すと、支離滅裂になりそうなので。
早速、要点をまとめて話す美空をみていると頼もしく感じる。
「はい。はい。はい。わかりました。では、早速写メを送ります」婆ちゃんの指示で、洋子のイメージを浮かべながら二人で水晶に向けて念を送る。それを婆ちゃんに写メで送ると、その思念を元にして洋子を探す。通常は相手の体の一部だとか、愛用品や服などでやるものだけど…そういったものがまったくないのでこの方法を試してみようというのだ。
写メを送ってから、1時間は経っただろうか。二人は帰る気にもなれず、ひたすら婆ちゃんからの連絡を待っていた。
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