第3話 凛は、大切な友達
二人共、目の前のかき氷を平らげてから凛が今までとは違う態度で話しだす。
洋子、久しぶりだね。なんだか学生の時に戻ったようでうれしかった。
あのね。実は今日は話があるのとさっきの勢いとは違いゆっくりと語りだした。
早い話が自慢の彼氏は単なるひもだった。凛は高校中退してからは水商売をして彼との生活を支えていたが、彼女の実家にも借金をした挙句いっこうに働こうとしない彼。
初めて聞いたその話は、いくぶんかやつれた凛の口から聞くには悲しすぎる。
「ねえ別れなよ。自分の夢とはいえ自分のことしか考えていない彼はこの先一緒にいるには無理があるよ」
「分かっている。わかっているけど…実家にもこのまま彼氏といるならと縁をきられたし、でもさ。彼はステージでキラキラしてて私のスターなんだ。だから、だから周りに何と言われても私はついていきたいんだ、凛ならわかってくれるでしょ?」
「えっ、ちっともわからない。今日だって…」
そんな生活だったら、今日は何のためにあったの? 口から、出かかった言葉を慌てて飲み込む。でも敏感に感じとった燐は「私だってたまには会いたかった。こんな何年も着古した服でも、あの学生の頃のように今日はあなたと過ごしたかったの。でも、でも」そういったときに目が、宙を泳ぐ。
その後ごめんと言い本当はお金を借りに来たと言う。私は即断る。考える間もない。そう、ごめんといいながら凛はバックからお金を取り出すと、止めるのも聞かず足早に立ち去る。
これ以上に凛を止める気力もなく、しばらく立ち去る姿をみながらテーブルに置かれたお金に目がいく。えっ、伝票と見比べながら(多い⁈ 二人分ある)お金に困っているのに、奢ってもらうには悪い気がする。でも返しに行くのも、なんだか面倒くさい。私だって今日をずっと楽しみにしていたから。なのに、あんな風に別れるなんてなんかアーとってもむムシャクシャする。
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