第2話 この占い信じる?
さっきのピリピリとした痛みは何だったのだろう。目の前の占い師も、流石に痛かったようだ。それでもすぐ仕事モードに戻った。流石にプロ。
思いがけないことが起きたが占い師の話に集中することにした。
君は意外と見かけよりも情が熱く、自分をしたってくる相手を何があっても突き放せないタイプです。
ふうむ、ふうむ褒められているのかけなされているのかわからないがあっているような気もする。
君は3年以内には親しい友人との関係をきらなくてはならないでしょう。
(何言ってるのこの人。親しい友達って凛子しかいないじゃない?!
あり得ない)
恋愛はその友達によって最悪の彼氏を得るが、その友達と縁を切ることで最高の彼氏を得るでしょう。もちろん仕事にも影響してきます。
その結果あなたは会社にとってなくてはならない存在になります。
二人共占いが終わって吸い込まれるように入った、かき氷店の運ばれた抹茶かき氷を目の前にしてもなんだか、あの占い師の言葉が離れなかった。
凛は山のようなかき氷にこれでもかとのせてある果物とその奥にあるかき氷を交互に食べながら、占い師に言われた言葉が気にいらないらしくせわしなく喋る。
「ああー生き返ったわ。おいしいー」そしてまた占いの話に戻っては、勢いよく喋りだす。
あの占い師にめっちゃひどいこと言われてむかついたー。性格が自己中だとかわがままだとか散々な言われ方をしたあげく、陽士とわかれろとか二人共計画性がないとかちゃんと働けとかまるで親みたいなことばっかり。全然あたっていないわね。陽士は今にビッグスターになるのよ。私が認めた人なんだから。命を吹き返したみたいに、つづけざまに凛は不満を吐き出す。
凛の話を聞きながら、ここまで言い当てるのはすごいことだと思う。ほどんど当たっている。
それでも凛との関係を断つか…。凛の話を聞きながら占い師の言葉を思い出していた。
何言ってるの。私たちのこと何も知らない癖に…
箱入り娘の凛と一人親で育った私の共通点は人見知りだった。高校生活2年目にし
てやっとできた友達。凛もそうだった。それからはどこにいくのも一緒だった。
写真や思い出は一気に膨れ上がりいつも、凛はとなりで笑っていてくれた。
そう、凛に彼氏ができるまでは…。出会いは、街中でのナンパだそうだ。
2人共、3年生になった。たった1年の間で凛は随分変わっていった。茶髪と制服の短すぎるスカートとブラウスから透き通った黒の下着は毎回指導部の顧問に引っかかるようになった。
凛は、3年生半ばにして学校を辞めてそのあと彼氏と同棲を始めた。
凛が学校にいないことは悲しかったけれど、数か月後に卒業して就職。バタバタと慣れない環境が押し寄せてきたおかげで乗り越えられた。何度もかけた電話やメールは、いつも留守かやっと繋がっても彼氏のことばかりでなかなか会う機会もなく寂しかった。
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