第6話 2年半前
「おい哀川、半年後に〇〇支店の店長になってくれないか」
営業部長の下地 三田が珍しく昼食をおごってくれるというので会社に近い和食処で飯を食う。自分の給料ではランチとはいえ、高級そうなこの店はなかなか敷居が高い。
「2年越しで、転々とさせて悪いがここがすんだら本社に落ち着かせてやるから」「たしか、この前もそういってませんでしたか?まあ、またそろそろかなあと覚悟はしてましたが。今度はどんな所ですか?」
今まで売り上げが悪いとか、癖のありすぎるスタッフとか難癖のある支店に行っては改革をしてそれなりの結果をだしてきた。
この仕事はなかなかやりがいはあった。
だが、なかには方針が合わずに憎まれて辞めていく輩もいるが。
「どんな感じですか。○○支店は?」
「うん、一言でいえば。あるダメなパート女性を辞めさせるか否かがかかっている」
「店の売り上げは?」
「駅前近くということもあり、まあまあいい方ではある。この間、近くに用事があってその店に寄ってみたが、もっと収益が見込めるんではないかと思ったんだ」
「あと、これをみてくれないか」パソコンの画面に映ったものは、○○支店の社員や非正社員からの苦情文だった。
読んでいくと、大半がある女性についての苦情文が目につく。そして、当の本人の女性の書いた文章を読んで笑ってしまった。
「なあ。なかなか面白いだろ?」下地は、俺に相槌をうつ。
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1週間後
ピッと音がして、パソコンをのぞくと返事が来ていた。
つうてん様の友達申請うけました。
(私のブログに興味持っていただいてうれしく思います。これからも、よろしくおねがいします。ピクルスより)
貝地は、返事がきたことに単純に喜んでいた。
そして、彼女のブログを読むごとにあの苦情文の主とはとうてい考えられなかった。
彼女のブログは一言でいうと、ハンバーガーへの愛‼があふれていた。
それからは、毎日メールを送りあっていた。
そして、○○支店で彼女に会える日を楽しみにしていた。
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