第33話 召喚者達 1
グランザイア帝国内ミズル公国。
その後継子息(孫)が起こした乱行は、ベルン王国の密偵の工作から貴族闘争へと飛火し、隣のモルド辺境伯との内戦状態に陥る筈。それがゲーム内での
この内戦で西の国境守備兵たるモルド辺境伯の近衛騎士団が動く事になり、その隙をついてミリシア王国が侵攻し、辺境伯の領地の半分とミズル公国がミリシアのモノとなる。
ミリシア王国が第3国の地位を確保する歴史的事件だったのだ。
ちなみに、ベルン王国の工作にも関わらずミリシアが漁夫の利を得る事で終わったのは、この間ベルン王国が動けなかったからである。
北の『魔の山』と呼ばれるパンタン山脈に『闇竜ヴァルザール』が飛来した事に端を発し、そこから王都へ向かって
此方はゲーム内の
そして、歴史が変わった。
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「まずは感謝を。皇女殿下」
「もう、堅苦しい話はやめて。ドリス」
ヒカリと言う名が示す通り私は、この世界で言う
あのいきなりの天の声に導かれて私とハヤトはカートライトバーグを召喚の地に選んだ。ハヤトとケンタの3人パーティ『
でもケンタは召喚ではなくて転生を選んだ。
結果、ケンタはLv1の赤ん坊としてこの世界に来たらしい。
「俺、コッチの転生ってのでやってみるよ」
あの時、何としてでも止めるべきだったの。
私とハヤトがこの
街中に召喚されず、街道筋の森の中に私達は出現したみたいで。ケンタも同じく。でも森の中に赤ん坊でいても直ぐ魔物に襲われてしまう。
街中、それも出産の形で転生されなければ生きていけない。私達をこの世界に送り込んだ『天の声』は、そういう考慮を全くしてくれていなかった。
唯駒を送っただけ。
どう動くか。どう世界が変わるか。それを見たいだけで、駒の生き死にには全然興味が無い。そうとしか取れなかった。
カートライトバーグは、帝国三公ミズル公爵の領都だから治安も良く住みやすいと思ったのに。次期公爵ジョンの所為で、バカ領主の被害を受ける最悪の街となっていた。ハヤトと私は隣街へ移り、そこで冒険者ギルドに登録した。
私達は直ぐにランクBのパーティとして登録された。
元々
そこからその領~モルド辺境伯の領都ヒルズボードへと拠点を移した私達は、辺境伯令嬢ドリス様の知己を得た。
以来、側近として動いている。
ゲーム内の
それが巧くいき、またドリス様の旧友リスティア皇女殿下のお働きもあってミズル公国の動乱はバカ公孫のヤラカシで終わり、モルド辺境伯領が侵攻される事も無くなった。
その御礼も兼ねてドリス様は皇女殿下を訪ねてきている。今の私は護衛を兼ねた従騎士扱いだ。
「貴女がヒカリさんね?今回の件ではミリシアの動きを注意喚起して下さったそうね」
「ドリス様にはひとかたならぬお世話になりました。その恩を少しでも返せたらと思いまして」
「充分すぎるわ、ヒカリ。本当に感謝しています。それに貴女達が召喚されたカートライトバーグに居続けた時の事を考えると…。よくぞヒルズボードに来てくれました」
私のゲームキャラはドリス様より年上だ。日本での実年齢でも大学生だったのであまり違和感を感じていない。それはハヤトも同じ。大学処か住む県も違っていたがSNSではよくやり取りしていたしオフ会で1度と言わず会った事もある。本当ならケンタも…。特にハヤトはケンタと同じ大学だったそうだからショックは大きかったみたいだけど…。
私達のアバターは本人アレンジパターン。
だからこの
「そう言えば殿下の元には件のテイマーがいましたね」
私も気になる存在。
ステータスって言うか、レベルやランクだけみると
しかもゲーム内で『
噂になっているのはあの『地上の星』の
波目。そして魔法剣。
和かに笑みを浮かべている童顔。その為か紅眼が目立ってない。
その紅眼が問題なんだ。
アバターで紅眼は選べない。
これは人族は勿論獣人亜人にも無い瞳色。唯一魔族のみが持つ事になってる。
魔女は
その子に遺伝するのは分からなくもないけど、お陰で
「丁度今皇都に来ているわ。陞爵の式典があるのよ」
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