第27話 幕間 神獣の独り言
ニャーの名はニャット。
誇り高きネッコ族の戦士……と言う事になっているニャア。
ニャーの本当の正体、それは神界で暮らしているボンクラ女神に仕える神獣だニャ。
と言っても世界によほどの事がニャい限りニャー達神獣の出番はないのニャ。
なので基本的にニャー達神獣は暇を持て余しているのニャ。
自宅待機って奴ニャ。
けど獣の名を持つニャー達がじっとしていられる訳がないのニャ。
普段は神界で自由気ままに暮らしているニャー達だけど、どうしても退屈が耐えられない時は下界に遊びに行くのニャ。
下界は神界と違って刺激的だからニャ。
下界に降りるときは世界に混乱をもたらさない為に現地の生物の器を用意するのニャ。
例えば地球なら猫とかだニャ。
特に地球はお気に入りニャ。
猫専用の美味しい食べ物が沢山あるのニャ!
ニャーは大体月一で地球に降りてご近所で美味い飯巡りをするのニャ。
既製品から手作りまで、人間達はニャー達猫を全力で持てニャしてくれるのニャ。
更に猫じゃらしやらなんニャらで接待まで完備ニャ!
くっくっくっ、ニャーの芸術的フォルムの前には人間共もメロメロなのニャ!
ただ今回はうっかりしてたのニャ。
たまたま寄った家で持てニャされた食事が予想外に美味かった為に、ついその味を反芻しながら歩いてたのニャ。
結果ニャーは人間の乗る車に撥ねられてしまったのニャ。
とはいえニャーは神獣。
地上の民の作った物で死ぬことはニャいのニャ。
せいぜい地上用の器が壊れるだけで、ニャーの本体は神界に戻るのニャ。
現にこういったうっかりはこれまでにも何百回かあったのニャ。
けれど今回はいつもと違ったのニャ。
ニャんと何も知らニャい人間がニャーを守る為に巻き添えを喰らってしまったのニャ!
これにはニャーも焦ったのニャ。
まさか人の情が薄いと言われるこの時代に、他猫の為に命を投げ出すようニャ人間がいるとは思わニャかったのニャ。
さしものニャーもこれには反省したのニャ。
けれど神々のルールで死者の蘇生は禁じられているのニャ。
昔どっかの世界の馬鹿が死者を蘇生させ過ぎて世界が大変な事にニャッてしまったからなのニャ。
だからニャーはせめてこの人間の魂が来世は良い所に生まれるように神様に頼もうと思ったのニャ。
幸いにもニャーの主の女神が、ニャーが世話になったからと手続きをしてくれていたのニャ。
流石ニャーの主だニャ!
ほうほう、女神直々に加護を与えて自分の管理する世界に転生させたと……
はぁーーーーーーっ!? バッカニャねーの!?
お前の世界ってめっちゃ魔物が徘徊してる世界ニャねーか!
しかも言語や基礎身体の最低限の事をしただけで世界の違いによる認識の齟齬説明は無し、しかも適当に送ったから人里から遠く離れた森の中にニャッてじゃニャいかぁーっ!?
前言撤回! とんでもねぇポンコツ女神だニャ!
ニャーは転生担当の天使を呼ぶと、ポンコツ女神の尻ぬぐいとニャーが現地に降臨する為の時間のズレや諸々の辻褄合わせを頼んだニャ。
そしてニャーはとにかく急いで下界に降りたのニャ!
幸い、転生した人間はギリギリ助ける事が出来たのニャ。
とはいえ問題は山積みニャ。
この人間は異世界に転生した人間が本来受けれる筈だった現地知識なんかの加護が欠落していたのニャ。
加護も雑に与えられた所為で本来の力を発揮できていニャい様ニャ。
これは天使に連絡して対応して貰うのニャ。
ふむふむ、加護を使う事で成長という形で本来の加護を発動できるようにすると。
確かに今の不安定な状態で加護が定着している以上、突然加護を完全に発言させてしまったらこの人間が負荷で倒れてしまうのニャ。
やれやれ、これはしばらくの間ニャーが傍に居て守ってやる必要があるのニャ。
この世界の常識もニャーが教えてやらニャいとニャ。
とはいえ、現地の生物に擬態している間はニャーの正体を明かす訳にはいかないのニャ。
それが神々のルールであり、既に転生してしまっている以上、この人間は現地の生き物。ニャーの正体は明かせニャいからこの世界の常識説明も回りくどくニャるのニャ。
神獣の正体を明かさないといけないような大事件でも起きれば話は別ニャけど、そんな大事件そうそう起きる訳がないしニャ。
やるべきことが纏まったニャーは人間のメンタルケアに勤しむことにしたニャ。
ほら天使が用意してくれた肉を喰うニャ。
うむ、焼き立ての肉は美味いのニャ!
ん? 食わないのニャ?
何をかけているのニャ?
香草? ニャーにもくれるのニャ?
…………っ!?
うニャァァァァい!! ニャンだこれ!? ビックリするくらいうニャいニャ!!
ただ香草をかけただけニャのにニャんでこんニャにうニャいのニャ!?
どうニャらこの人間は料理人だったみたいだニャ。
しかしこれは好都合ニャ。
ニャーは料理と引き換えにこの人間と護衛契約を結ぶことにしたのニャ。
決して料理に眼がくらんだ訳ではニャいのニャ。
人間は一方的に与えられるだけでは警戒する生き物なのニャ。
だから料理と言う対価を要求する事で人間に対等な取引だと錯覚させたのニャ。
くっくっくっ、ナイスな作戦だニャ。
これでこの人間がこの世界に慣れるまでうニャい料理が食べ放題だニャ!
と思ったのもつかの間。
ポンコツ女神がこの人間に与えた加護はとんでもないものだったニャ。
不幸中の幸いだったのは、与えられた加護の発現が不完全だった事だニャ。
もし加護の価値が理解できてない内に十全に加護の力を発揮していたら、この世界の市場は大混乱、その原因であるこの人間は悪党に捕まって死ぬまでこき使われていた所だニャ。
早くニャーがこの世界の常識を教えてやらニャいとだニャー……って、思った傍からやらかしたのニャー!!
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