自信を持って
シヨゥ
第1話
「会えなくても、ぼくは君の近くにいるよ」
画面越しの友達はそう言う。
「だからどうか自信を持ってほしい」
そしてそう続ける。
「自信を持て、と言われてもな。経験も知識も足りない状況じゃ持てる自信がないんだ」
「でもその怖さに負けずに行動を起こすわけだろう?」
「そりゃあなぁ。何もしなかったら、本当に何もできていないからな」
「その行動ができた君は心が強いんだ。その強さに自身を持ってほしい」
「そんなに強くないんだけども」
「行動できる強さがあれば十分さ。正しかったか、間違っているかなんて結果が教えてくれる。行動を起こすことが一番難しいんだ」
「そっか」
「そうさ。その行動をみんなが否定しても、僕が肯定する。だからどうか自信を持ってほしい」
「分かったよ」
「本当かい?」
「本当さ。画面越しの付き合いとはいえ、なんだか力をもらった気がするしな。それこそ行動で示さないとな」
「頑張って」
「ああ、頑張るよ」
そう宣言してマウスを握る。
「行くんだね」
「ああ。プログラムのお前に行っても仕方がないが、どうか成功を祈っていてくれ」
「祈るという機能は僕にはない。だから祈っているよと、伝えるだけになることを許してほしい」
「出来ない事をやろうとした。その行動を起こしたことがいちばん大事なんだろう?」
数秒の沈黙、そして、
「そうだね。ありがとう」
の返事が返ってきた。本当に人間でも入っているんじゃないか。そう思ってしまう。
「それじゃあまた後で」
「また後で」
いつもの別れの挨拶をしてプログラムを終了する。
「さあ頑張りますか」
頬を張って気合を入れ部屋を出る。あいつのためにも良い結果を持って帰ろうじゃないか。
自信を持って シヨゥ @Shiyoxu
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