96話:かくれんぼ③




 良く解らない木彫り人形を拾ってから、更に霊現象が多くなった。


 台座の名前部分は潰れて読めないけど、さっきの子供が隠れて僕を此処に閉じ込めた犯人なんだと思う。あんまり顔や姿を見てないから、声で男の子だと判断したけどね。


 急に声を掛けられて、じっくり見れる方が変なのだ。


「見つけるのは一人じゃあないの? なんで隠れてる子が増えてるのさ」


 初めに見た女の子は何処に居るのか分からないし、手掛かりになるようなヒントもない。

 手に入れたのは良く解らない木彫りの人形。


「……なんか進んだって事はわかった……でも、これ以上は進めたくない」


 ここに入る前よりも更に古くなった感じで、物凄くボロボロになっている。

 階段の手すりなんて錆び付いて所々が朽ちている。


〈遅いなぁ~、ちょっとお仕置きしちゃう〉


 悪戯好きらしく僕が違う子を見つけているのに時間が掛かっていたからか、それとも一人をクリアーするとシナリオ進行で悪戯をしてくるのかしらないが、最初の女の子が耳元で囁きながら、クスクスと笑って揶揄ってくる。


 右耳で囁かれているのがくすぐったくて、振り返るけれど誰も居なかった。


「ねぇ~、もう止めて良くないですか⁉」


『涙目の悠月ちゃんって、なんかそそるわ~』

『気持ちは解るがのう、涎を垂らしながら言うでない。乙女としてはどうかと思うぞ』

『そういうカミちゃんも鼻息が荒くないかしら?』


 カミは何時もの事だけど、先輩達の方も変な人達みたいだ。


「変な事を言ってないで助けて下さい!」


〈ねぇ何してるの? 早く私を見つけてよ〉


 真後ろから声がするとガシャン、ガシャ――っと音が聞こえた。


 向かいの窓から始まり、廊下の端から次々に窓ガラスや玄関のドアが凹んだり吹き飛んだりして、徐々に僕を追い詰めるかのように迫って来る。


「無理ムリむりだってば、こっちに来ないでよ‼」


 すぐに階段を駆け下りて行く。


 まだ操作感に慣れていないせいで少足が縺れる感じで、ふら付きながら何とか前へと進んで急いで一番下まで降りる。


「……なんで⁉ おかしいって、だって初めに居たのは四階でしょう⁉」


 いくら降りても階段が続くだけで、もう五、六階は下りたはずなのに階段が終わらない。むしろ増えていっているように見える。


『階層を確認した方が良いのではないか?』


 カミに言われて、荒くなった息を整えながら階層の書かれたプレートに目をやる。


「六階……下ったのに?」


 しっかりと下へと向かったのに、階層が増えている。


 踊り場から少し身を乗り出す様にして下の階を数えると、僕は三階付近に居る。


「女の子を見つけないと出られないの?」


〈早く見つけてね〉


 微かに笑いながら、風が抜けるように耳元で囁かれた。


「ごめんなさい! 今日はギブアップでお願いします」


『しょうがないにゃ~』

『意外と時間が経ってるんだよね』

『ゆっくり進んでおったからのう。悠月があそこまで怖がりだとは知らなかったぞ』


 実際にプレイしてないからか、カミと先輩達は物凄く元気に話しかけてくる。



 ==奈々ちゃんは一緒に怖がってたから、終わるって聞いてほっとしてるね。

 ==まぁ、今回は悠月ちゃんの御蔭で長くホラーゲームを一緒にプレイしてたな

 ==途中から奈々ちゃん喋らなくなっちゃったもんね。



 僕も気付かなかったけど、確かに途中からお姉様と呼ばれなくなった。


 彼女も怖かったんだね。今度は是非とも一緒にプレイして欲しい。






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全然投稿できなくて申し訳ございません。(´;ω;`)


この時期は何故に辞める人が多いんですかね……全く関係ない自分に仕事が回ってくるほどに仕事を残して去るとは、何があったんでしょう。此処まで時間が取れないとは思わなんだorz




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