67話:二人のセンス②




 地下に掘り進み、地下洞窟にぶち当たって探検を開始してしまうカミを見ながら、その時に僕が何をしていたのかを、隣の画像を見て確認する。


「鉄探しをしてるのに、深く行き過ぎてない?」

「よいではないか、どこまで進めるかを確かめる為にず~っと掘っておったのだ」

「それで、途中で飽きたんだね」


「そこに洞窟があったのだから、探検をして見ないとダメではないか。まったく、悠月はロマンというモノが分かってないのではないかのう」



 ==それで漢を語るとは……

 ==悠月ちゃん、君はやっぱり乙女なのかね

 ==声からして可愛いからね

 ==でも所々ではしっかり男の子っぽい声も出てるから流石よ



「は~い、皆さんも一緒に動画を楽しもうよ。良いの僕の性別談義は!」


「まぁしょうがないじゃろう。誰もが知りたくなるのが通りじゃぞ。ちなみにな、悠月の性別は悠月じゃからのう……どっちかを考えている内は、まだまだという所じゃな」


 なにが「まだまだ」なのか知りたいんだけど。ここで「訳が分からない」とツッコミをいれてしまうと、嬉々としてカミが説明をしだしそうだから、止めておいた。


 僕のキャラは木を育てる範囲を決めて、植林をしつつ松明を大量に量産している。そして、それを惜しげもなくカミが勝手に持ち出していって、洞窟探検へと再び向かって行く。


「やっぱりカミが犯人なんじゃないか⁉ なんか数が合わないと思ってたんだよね」


「犯人とは失礼なヤツじゃのう。我が地下の洞窟を探索して見つけたダイヤ、それに金だって我が見つけたのだぞ。後はなんか良く解らない宝石類が少々あるのう」


「あ~、あれね……家とか村を見つけて色々と発展させていけば商人が来てくれるようになるんだよ。その時に物々交換で使うモノだよ」


「ほ~、なるほどのう」


 なんて説明をしている内に、カミはモンスターが大量に沸く小部屋を見つけていた。


〈ひぃ~、助けてくれ悠月~〉

〈えっ⁉ なにしてるの?〉


 パニックになりながらも、松明片手に必死に逃げながら、なんとか数を減らしていく。


 ただ、動き回ったせいで何処に居るのか分からなくなってしまい、洞窟の中で迷子になってしまう。半泣きになりながら、僕の助けを待っている。


〈通らない道は壁を作って埋めちゃおうね〉

〈そこまでは考えが回らなかったのう〉


 マグマ近く遊んでいると、カミを追ってきたモンスターが現れた。


 それに気付かずに、僕を大人しく待ちながら壁を掘って遊んでいるカミにゆっくと近付き、囲まれていく。ようやくモンスターの声に気付いた時には、もう既に遅かった。


「この時は怖かったのだぞ」

「急に声を張り上げてたもんね」

「ニヤニヤしながら眺めてたのよね~。何時気付くんだろうって」

「むぅ、母上は意地悪なのじゃ」


 カミの可愛い反応を待ちわびている母さんが、すぐに思い浮かんだ。


 まぁじっさいカメラマンとして撮影しているので、母さんも父さんも声が入らない様にマイクは切ってある。ただ、ちょっとだけ画面が揺れて笑っているのは見て分かる。


 僕が作ってアイテムボックスに置いてあった盾を必死に使いながら、自爆する敵の攻撃を防いでいるけど、爆発の衝撃で吹き飛ばされてしまう。


「ひぃ⁉ くるでない!」


 必死に剣を振り回して、すぐに盾を構え隠れるけど、真後ろにはマグマがある。


 雑魚敵をなんとか倒しても、そのすぐ後ろには自爆する敵が待ち構えているせいで逃げようにも突っ込んでいける状態ではない。


「この時はもう絶望しかなかったのう」

「僕は急いで向かってたけどね。鉄やらダイヤなんかを持ってるんだもんな」

「なかったら助けには来てくれなかったように聞こえるのじゃが?」

「いや、そんなことはないよ」


 僕はカミからそっと視線を逸らす。


「この後が良い展開よね~」

「そうかな、もうカットして良くない。ここで終わろうよ」


 僕が間に合って、弓矢を使って敵を撃ち抜いて助け出すのだ。


「さっそうと現れた悠月は格好良かったのじゃがのう」


 ここまでで終わってくれれば良いモノを、まるで狙いすましたかのように僕の後ろから自爆をする敵が三体も向かってきて、僕だけが爆風に巻き込まれる。


〈ひぅっ⁉ びっく――あぁ~~~~⁉〉


「見事にマグマに吹き飛ばされたのう」

「カミちゃんの頭上を越えていったものね」


 貴重品はなかったけど、マグマに落ちてアイテムを全て失うのは、どうも精神的に来るものがある、しかも格好良く助けた後だっただけに、落ち込み具合は半端なかった。



 ==そのあとに、ちょっと煽られて拗ねる悠月ちゃんw

 ==落ちの担当は悠月ちゃんなんだね

 ==ダイヤを守ったと思えば大丈夫だよ



「そんな慰めはいらないの、というか殆どの人はわらってるじゃないか」


 コメント欄には、笑いを表現した記号が沢山流れている。


「この後は、ひたすらに建築作業だったのう」


「悠月ちゃんたら骨組みから作って、全体的な家の形を決めようと、黙々と作ってたものね」

「良いじゃん、あれは次の配信の時に作ろうと思って用意してたんだからさ」

「牧場も凝っておったのう。柵を作って牛舎や養豚場なんかも作っておったし」



 ==しっかり牧場っぽくしてるのね

 ==悠月ちゃんは凝り性と







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