#26

「そこをなんとか、そこをなんとか、お願いします!」


「う〜む、そう言われてもだなぁ・・・」


恰幅のいい中年は困ったように髭を触った。


「どうかその絵画をお譲りいただきたいのです」


「かなり値が張るものでな。そう簡単に手放す訳にもいかんのだよ。わかってくれたまえ」


「では、宝石類とではどうでしょうか」


「生憎だが貴金属にはそこまで興味がなくてな」


「そ、そんな・・・。もっと価値のあるものなんて、代々受け継がれてきた農園くらいしか・・・。しかしそれを譲る訳にも・・・」


「時に、何を作っておるのだ?」


「はい、果実酒用のブドウを作っております。それなりになの通ったブランドも近頃は確立されてきております」


「な、なに・・・? もしやかの有名な・・・」


「左様でございます」


「むむ。ならばそれを定期的に届けてもらおうか。友誼の印としてな」


「果実酒でよろしいのでしょうか!? ありがとうございます、すぐに手配します」




















――ワインに弱いんだ

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