#14

わざわざ宛名無しで、生徒立ち入り禁止の屋上に呼び付けるとは、変わった奴に目をつけられたもんだ。

真面目な一般生徒ならまず無視してただろうな。


全く、俺が立ち入り禁止をものともしない不真面目な生徒でよかったな。


夕陽が差し込むあまり使われていない階段を上ると、錆びて重いドアを開いた。

そこにいた人間は、俺のよく見知った幼馴染だった。


「何のマネだ? こんな日に、こんな時間に、こんな所に呼びつけやがって」


「バレンタインなんだから要件ぐらいわかるでしょ?」


コイツとは長い付き合いだが、バレンタインは毎年登校の時に手作りクッキーを貰うくらいだったはずだ。

さては今年は本命が出来たからって、俺を配達員に使うつもりだな?


「ほらさっさとの寄越せよ。で、誰に渡して欲しいんだ?」


「アンタ」


「は?」


「今年で卒業だし、もうチャンスも無いかもしれない。だから。私、あんたの事が――」




















――チョコをちょこっと

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る