#12

「ねぇ〜お母さ〜ん! こっちのが可愛いやんか〜」


デパートの真ん中で母親の裾を掴みながら少女はごねていた。


「アンタ、いい加減にせーや。そんなド派手な柄付きにせんと、ウチにある普通の不織布のやつ使いーや」


「せやけど、友達も可愛いの付けてたし・・・。ウチもこのイチゴのかリンゴのがいいんや!」


度重なる忠告にも諦める様子を見せない。少女は布マスク売り場から動いてなるものかと凄んでみせた。


「言う事聞かんと置いてくで! それに白色にしなさいって学校からも指定されてたやろ? その友達にも言ったらなアカンで」


「はーい・・・」


布マスクか不織布マスクか、マスクの種類を指定されるのは納得いくが、カラーまで指定される言われは無いと憤慨するも、大人しく引き下がる少女であった。





















――赤はアカン、白にしろ!

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