第11話 魔物の大群
「あれはなんだろう?」
ルシファーやカエデと出会って、二日ほど。僕らが交易路を歩いている時だ。交易路のど真ん中だと言うのに、多くの馬車や人が集まっているように見える。
「クソッ! あれはどう考えてもAランクパーティー相当の案件だ!! もしくは教会騎士団の出動を要請しないといけない」
「しかし、ここらのAランク冒険者は出払っている。教会騎士団も要請しても、いつ来るのか分からない」
「どうやら、この先で何かあったみたいね。魔物かしら?」
話している男達の声を聞いて、ルシファーはそう口にする。また交易路でデス・マンティスクラスの魔物でも出たのだろうか……?
「ちょっと話を聞いてくる。二人はここで待っていてくれ」
僕は二人に言って、人混みをかき分けて前に出る。
人混みの中心にいたのは傷ついた冒険者だった。それも一人ではなく、複数人。怪我が酷い冒険者は、他の冒険者によって治療を受けていたけど……それにしても酷い光景だ。
「何かあったんですか?」
「……見ての通りだ。この先に魔物の大群が現れた。ギルドの依頼で討伐に向かったが、かなりの強さで撤退してきたところだ」
——魔物の大群。そんな物が交易路のど真ん中で現れているってなると、非常事態だ。
「誰か対処に向かっているんですか?」
「今は結界魔法で動きを阻害しているが、長くはもたないだろう。少しでも早く、Aランク冒険者のパーティーもしくは、教会騎士団が来てくれるといいんだが……」
「頼みの綱が来るかどうか怪しいということですね?」
「その通りだ。もしもあいつらを好き勝手にさせたら、街や村が魔物の大群によって襲撃され、大きな被害を被るだろう。一刻でも早く対処しなくては」
魔物の大群がどれほどの規模か分からないが、直に見た冒険者がそう言うんだ。事態は一刻を争うのだろう。
「話は聞かせてもらったのです。ここは私達が対処するのです」
「君達が……? 子供達が出るような状況ではないぞ!!」
僕の背後から声が聞こえる。カエデとルシファーが人混みをかき分けてやってきたみたいだ。
「私はこう見えてもAランク冒険者なのです。彼らも私と同等、もしくはそれ以上の実力者なのです」
カエデの僕に対する過大評価っぷりには少し慣れた。慣れた上で言わせてほしい。
——絶対にカエデの方が強い。
「そうなのか……? いやでも、Aランク冒険者が言うんだ。君達に任せてもいいか?」
そう、僕の目を見て言ってくる冒険者。みんなの視線が僕に集まっている。
ここまで期待されたら、逃げるわけにはいかない。僕らの存在が、エンデュミオン家や教会にバレてしまう可能性を考えたけど、少ししたら僕らはルミナス王国を出る。商業連合にさえついてしまえば、国を跨いで僕らに手出しはしにくいだろう。
それにここで事態を見過ごして、村や街が魔物に襲われるなんてこと、僕らが助かったとしても、誰よりも僕が僕を許さないだろう。助けれる人がいるなら助けたい。
「分かりました。この先の魔物は僕らで何とかします。皆さんは万が一のことを想定して、近隣の村や街に事態を伝えて、避難の準備を進めてください」
僕は覚悟を決めて、みんなへそう言うのであった。
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