第2話
寝ない祭りが終わると私も家に向かった。
「ねえ、キミ」
人混みの中、声を掛けられた。
振り返ってみると、同じ年頃の少年が呼吸を荒くしながら、ヘラヘラと笑っていた。
「この近くにコンビニってある?」
学生服姿のその彼は。いつもへらへらと笑っているようにも見える。
「あっち」
私はコンビニの方を指さした。
その方向は、町の東側。丁度、月が白く浮かんでいるところだった。
「サンキュー。あんたグッドだ。もし、俺のこと聞きに来たやつらがいたら。コンビニに行ったなんて絶対言うなよな。じゃあな!」
「え。困……」
私がいいたい一言を言う間もなく。そいつは東の方の雑木林に覆われた小道を駆けだしていた。何かあるのではと思ったが、関わるのも嫌なので、その反対側の道を選んで帰路につこうとした。
釣り下がる提灯の明かりで、照らされていた。あいつの少し赤みがかった顔が脳裏から離れなかった。軽めの整った鼻梁と茶髪で背が高いが、以外に意志が強そうな瞳。白のワイシャツの胸元にはオレンジ色のストラップのついた携帯がささっていた。
「変なやつね……」
屋台も店閉まいし始めている。
浴衣の袖に寒さを凌ぐために右手を引っ込み。辺りがざわめくのを不思議がった。
ざわめきは次第に近づき。
前方から、正確には林から。男たちが駆けて来た。
皆、学生服のままだ。まるで今、学校が終わったかのような。真面目そうなだが厳つい顔の男たちが追っていた。
手に手に角棒を持ち出し。
息を切らして人だかりを右に左に避けているが、幾らかはぶつかっていた。
「おい! お前! オレンジ色のストラップの携帯を胸にさしたやつ知らないか!?」
角刈りの男が私の前まで来ると角棒を下ろして、息を整えながら聞いてきた。
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