012 召喚するもの【2月10日簿記の日】

「王子よ、救世主を召喚しましょう」


 王に仕える魔導士から進言された。

 このままでは国が滅ぶのは時間の問題。

 資源豊富で裕福だが小さな我が国に魔族のせいで移民が増え、従来のシステムではどうにもならないところにきている。

 そして魔導士が異世界から救世主を召喚した。

 光輝く魔法陣の中から一人の女性が現れると、魔導士が高らかに叫ぶ。


「あなたこそ我が国の救世主!」

「はあ? ここはどこですか? 家に帰る途中だったのに」

「我が国を救ってください」

「いや知らないし」


 魔導士では埒が明かないので私が前に出る。


「お金の計算が得意ですよね?」

「え?はい」

「とくに税金の計算」

「公認会計士ですから」

「国の財務処理を頼みたい」

「はい?」

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