003 安眠【2月3日不眠の日】
大きな事故のあと、彼女が深い眠りについてどれほど経ったろう。
たくさんの管に繋がれ、自宅のベッドで眠る彼女の寝顔は安らかだ。
僕はあの日からずっと眠れていない。
いつになったら彼女が目覚めるのか、そんなことばかり気になって。
目覚めたら何を話そう。
彼女は覚えているだろうか。
眠れなくてひどい顔の僕に主治医はたくさんの薬を処方してくれた。
しかし眠れることはなかった。
ある日、彼女が目を覚ました。
そして覗き込んでいる僕に気がついた。
彼女は目を見開き怯えた表情をするが、長い間寝たきりの人間が動ける筈もなく。僕のことを覚えていたようだ。
彼女が二度と目を覚まさないように処置すると、僕はやっと眠りにつくことが出来た。
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