第28話 久しぶりの再会って胸躍るよね



「のじゃ〜……。まさかここでお主と再会するとは思っておらんかったのじゃ」


 わしは、対面に座っているティミスに向かって言い放った。


「それは私もどうかんよぉ〜。まったく、何百年ぶりかしらねぇ〜」


「うむ……。前に会ったのがわしが、まだ百歳の誕生日の前じゃったし……。大体二百年ぶりじゃ!」


 わしは、ティミスとの久しぶりの再会に大いに喜んだ。だって二百年もあっていなかったんだから。

 ティミスは特に嬉しそうな顔はしていないけど顔が、「嬉しい!」と言ってる。

 こやつは、あんまり感情を表に出さないんじゃ。

 

 わしはムフフとティミスのことを観察していたら、目の前に皿が置かれた。わしは急なことだったので「のじゃ!?」とビックリしてしまった。じゃけど、その皿の上にあるものを見て目を光らせる。


 む? これはクッキーか!

 こ、こんなところにあるんだからわしが食べていいってことじゃろ?

 …………どうなんじゃ!?

 

「そうねぇ〜。もうそんなに経ったのねぇ〜。あっ。そこにあるおやつ食べていいわよぉ〜」


「む!? それではお言葉に甘えるのじゃ!」


 わしはティミスから許可の言葉が出たので、クッキーを口に頬張った!

 それも一気に!

 

 ティミスはわしのクッキーのせいでぷくぷくに膨らんだほっぺたを見て「ふふふぅ〜」と、笑って続けた。


「どうしたの? そんなかしこまっちゃってぇ〜」


「むが! ムシャムシャ。そりゃあお主。久しぶりの再会じゃからどう話していいのかわからないんじゃ」


 わしはティミスの言葉に、急いでクッキーを食べて答えた。

 前のわしは椅子に座るような子じゃなかったのじゃ。あのときは椅子は座るものじゃなくて、蹴るものだと思ってたもんね。だけど、椅子のことをそう思ってたのはティミスと一緒に遊んでたときだけ。


 ん?

 そういえば、なんでこやつは一言も残さないでわしの前から消えのじゃっけ?

 む〜ん……。思い出せないのじゃ。

 ていうか、なんでこんなところにいるんじゃ?


 あとから親から聞いた話だと、犯罪者になって牢屋に捕まってるって聞いてた気がしたんだけど……。


「そういえばお主。わしと遊ばなくなってからここでなにしててんじゃ?」


「ふふふぅ〜。それはひ、み、つぅ〜」


 ひみつ?

 秘密ってことはなにか隠したいことがあるんじゃ!


 ふふふ。そうかそうか。そういうことか……。こやつ、男ができたんじゃな!! だって昔ティミスが、「将来、素敵な殿方に出会ったら何が何でもついていくの〜」ってわしに自慢げに言ってきたんじゃからな。


 だから秘密って言ったんじゃな……。

 ふふふ。さすが上位神の子、名探偵トッティ。


「そういうトッティこそここでなにしてるぅのぉ〜? ここに飛んでくるのは親御さんに禁止されてなかったぁ〜?」


 ティミスは、わしの目を下から覗くように聞いてきた。


「それがのぉ〜。わし、何も悪いことしてないのにマミシアが異世界人と一緒に神器を探せって行ってこに飛ばされたのじゃ……。なぁお主。神器ってどこにあるか知っておるか? わし、早く神界に帰りたいのじゃ」


 わしは、ティミスの弱点である涙目になりながら子犬のような声を真似しながら聞いた。


 もちろんダメもとじゃ。だって、男ができたティミスがそんなこと知ってる訳ないからな。うむ、なんとなくじゃ!


「そうねぇ〜。知っているって言ったら嘘になっちゃうし、知っていないって言ったら嘘になっちゃうのよねぇ〜」


「む? むむ? それは一体どういうことじゃ?」


 こやつ何言ってるんじゃ? 

 知ってるのは嘘で知っていないってことも嘘……。


 うがぁ〜!! なんじゃこやつ!? 二百年会ってなかっただけでこんなに難しいことを言い出すとは……。さすがティミスじゃな! わしの唯一の友人だけある。

 

「私は神器がある場所を知っているわよぉ〜」


「それは本当か!? なら教えてほしいのじゃ!」


「ごめんねぇ〜。それはできないのぉ〜」


「なぜじゃ!?」


「それは……」


 ドアが開いた。


「おう。のじゃロリ。こんなところで何してるんだ?」


 開いた先にいたのはマサルだった。

 顔と服がボロボロになっているけど確かにマサル。


「むむ? おぉ〜!! マサル! お主、目当ての相手に勝ったんじゃな?」


 わしは、マサルが片手で人を引きずっているのを見て勘づいた。

 ふぅ〜。よかった。よかったのじゃ!


「あぁ。まぁ一応……。ていうかお前、俺が戦ってたっていうのにこんなところでなに呑気にお茶してんだよ」


 マサルは、わしのことを軽蔑するような視線を送ってきた。

 わしだってここで呑気にお茶なんてするつもりはなかったのじゃ!

 

 わしはそう思い、慌てて弁解しようとした。だけどまずはじめに、たった一人の友人を紹介しようと椅子から立ち上がってティミスの方に手を向けた。


「マサルに紹介するのじゃ。こやつはわしが小さい頃からの友人ティミスじゃ」


「――こいつは!」


 マサルは、ティミスのことをわしが紹介したら目が鋭くなった。


 あ、あれ?

 わし、なにかダメなことしたのじゃか?


「あらあらぁ〜。こんなところでぇ〜」


 ティミスもマサルのことを見て、目が鋭くなった。

 二人の交差する視線から、バチバチという音が聞こえそうなほどだった。


 な、なんじゃ!?

 何じゃこの状況!?


「……お主ら知り合いなのかの?」

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