第13話 盗賊スキルの勘ってヤバいなコレ



 俺は今、敵のアジトである屋敷のような場所に潜入している。

 俺だけが行くといったとき、ルイサはものすごく反発してきた。「私も行かせてください!」と。だが俺は忍び込んで目的を果たすのだと説得渋々納得していた。いやあれは納得ではなく妥協なのだろうか。


 そして今回のトッティはどこかおかしかった。俺だけ行くにもかかわらず、なにも何も言ってこなかったのだ。いつもなら「わしもついていくのじゃ〜!」などとバカみたいに叫ぶのだがなぜか静かにしていた。     

 俺はいつもとは違う様子を見て疑問に思った。だが、どうせ腹が減ってるとかそういう感じだろう。


 俺はたまたまシュンタの居場所を探っている中、ある屋敷に行き着いた。

 そこはこじんまりとした小さなお屋敷。

 庭などはなく、必要最低限のものしかない。

 外見はところどころの壁から塗装が剥がれており、どこもかしこもリフォームしないといけないような所ばかりだ。

 まるで没落した貴族が残していったような古びれた屋敷。なぜここに行き着いたのかわからない。ただの勘だ。


 この場所がなんなのかと住人に聞こうと思ったのだが洗脳させられる可能性があるため、聞き込みはできない。なので仕方なく、バレなさそうな近くの草むらに隠れ見張ることにした。


 最初の1日目と2日目はなんの動きもなく、俺は2日も寝ていなかったのでウトウトとなっていたとき。

 動きがあったのは3日目だった。


 その屋敷に確実に合っていない、大きな扉の先から一人の人物がでてきた。その人物はヘルメットで顔が隠れており、警備員のような格好のした人物だ。


 俺はその格好を見て、まさかバレてしまったのかと不安になったのだがその警備員は俺の場所を素通りしどこかにいってしまった。

 もちろん尾行して、服を剥ぎ取り、屋敷の中に潜入するということは考えた。

 

 だがそれは断念した。

 なぜなら、2日起きている俺にはそんな体力残っていないからだ。それにこの人物がどういう人で、友人関係や、家族構成を知らないとその人物にはなりきれることはできない。

 はぁ……。これじゃあまるで考えていることが盗賊じゃないか。 


 俺は昼に仮眠を取りある程度なら動けるような体力まで残した。


 その警備員は夕方になったら帰ってきた。

 ざっと両手に10個をもこえる満パンになっている袋を持っている。

 ここの食材かなにかだろうか……。

 真っ黒な袋なのでその中身はわからない。


 そしてその日の夜。

 「今なら行ける気がする」そう思った。

 この自信は何なのだろうか。これもまさかスキルの影響なのだろか……。


 俺はそこまで考えて、結論がでないということに気づきとりあえず自分の勘を信じ屋敷に潜入することにした。


 潜入経路は一番近くにあった窓ガラス。

 俺は確かに見た。

 最後に換気をするとき、鍵をかけていなかったということを。

 なので確実に空いている。


「誰だお前」


 外からは誰もいないことは確認していた。

 だが、そいつの服装が真っ黒だったので人がいるなんて気づくことができなかった。

 俺は叫ぶ暇を与えないように、素早く相手の後ろに回り込み手刀を食らわせる。

 

「がっ……」


 そいつは白目を向き倒れた。

 俺はいま自分が無意識にやったことはよく漫画とかで見たことのある技だと興奮している反面、やり方を間違えていたら殺していたところだったと、自分がしたことの重さを感じた。


「すいません……」


 俺はとりあえず、両手を合わし謝った。

 相手は気絶しているので俺の謝罪など知る由もないのだがこれはスキルに堕ちかけている俺自身への暗示だ。

 「しっかりしろ」と。


 この先、もっとたくさんの敵(警備員)がいるだろう。

 俺はそのことを考え、この場からさろうとしていた。だが、足を止め地面に倒れている警備員のことを見る。明確には警備員ではなく、警備員の服装に。

 

「すいません……」


 それは二度目の心がこもっていない謝罪だった。


■□■□


 俺は今、どこに神器を隠しているのか隅々まで探している。すれ違う同じ警備員にはバレないように、巡回をしていると装いっいる。たが、すべての部屋の扉を開けたが神器らしきブレスレットはどこにも見当たらなかった。


 そうあるのはあと、ここに入って気づいたこの地下への階段の先ぐらいしかない……。


「よし」


 俺は覚悟を決め暗い暗い階段を降りていった。

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