のじゃ口調のポンコツ神と行く異世界救済!〜死んだら意味がわからないままバカと一緒に異世界に飛ばされました。願いを叶えてもらうため神からもらった【盗賊】スキルで異世界を無双(予定)して旅をする!!〜

でずな

プロローグ 死ぬのって案外簡単なんだな!!


「おい君! 大丈夫か!? しっかりしろ!!」


 あぁ……体から力が抜けていく……。

 雨が目を打ち乱れてたが、急に真っ赤になった。これはなんだ……。


「救急車はまだか!?」


「あ、あと10分だそうです!」


「くそ……。流石にこの血の量じゃもう……」


 そうか血なのか。

 血? 俺……。あぁ思い出した。ははは……。猫がトラックに引かれそうになってたから、飛び出したんだった。なんで猫なんかに命かけてんだよ俺。バカな死に方だな。まぁ、引きこもりの社会不適合者なんだからそんなクソな最期でも良しとしよう。


「おい! 今から人工呼吸をする! 誰か手伝ってくれ!」


「わ、わかった」


「よしいくぞ…………」


「む……」


 ちょいちょいちょい。

 俺のファーストキスだったのに。何躊躇なくしてんだよ。抵抗できない相手にディープなキスをするなんて……。これはあれだな。犯罪って言っても過言ではないな。


「よし、もう一回だ!」


「はい!」


 しかもよりによってなんで人工呼吸したのが髭面のおじさんなんだよ。もっと仕事帰りで疲れてるけど、人を助けようと必死なOLの人工呼吸のほうが良かったわ。おっといかんいかん。これはただの性癖だな

。俺は今蘇生されてるんだった。


 ていうか、クズの俺なんて生きてても社会のゴミで家族のお荷物だし。俺なんて死んでも誰も悲しまないだろ。もういっそこのまま……。


「早く! AEDはまだか!?」


「持ってきました!!」


 AED……? ははは。このおじさん。

 まじで俺のこと生かすつもりなのか……? 

 俺なんてもう……。


「…………やめろ」


「え……?」


「……い、いから…………ゴホ。やめろ」


「わ……かった」


 このおじさんが戸惑うのも無理ない。

 ここで蘇生をやめたら俺のことをこのじいさんが殺したようなものだ。この先、目の前で生きていたかもしれない人を皆殺しにした罪悪感がつきまとうかもしれない。まぁ、そんなこと俺が知ったことじゃない。


「――ピー」

 

 死ぬときってこんな感じなんだ。

 なんかもっと、痛いものだと思ってたけど案外死ぬのって簡単なんだな……。


「――ピー」


 引きこもりなんかにならないでしっかり働いて、お金稼いで、家族持って、親孝行したかったな……。

 ごめん。

 お父さん。

 お母さん。

 こんな、ゴミな子供で。


「――ピー」

 

 耳鳴りがうるさいな……。

 なんなんだよ。まったく。

 人が死ぬ間際に、干渉に浸ってるっていうのに。

 死ぬときぐらい、静かに……。


 あれ? 

 聞こえなくなったな……。

 そう。このまま静か……に……。

 し……ず……か……に…………。


―――

 


「は?」


 目を開けるとそこは真っ白な空間にいた。


 俺、死んだよな?

 あれ? は?

 え? どこここ? なにここ? え? 俺、足ないんですけど!? これってまさか、死後の世界とかそういう類の……。


「――カチッ」


「かち?」


 俺は、まるでなにかのボタンを押したような音を聞き疑問に思い音の下後ろを振り返る。

 

「はぇ?」


 あったのは、人の影。

 人の影があった程度で俺はこんな間抜けな声を出さない。あったのは、俺の身長の数十倍はあるかのようなほど大きな人の影。

 そう。それはまるで神様かのような。

 目には見えないが、まるで神々しい金色のオーラを放っているようなきがした。


「はっはっはっ〜……。よくこの場所に来たのじゃ」


 低く骨に響き渡る声がした。

 


―――――――――――――――――――――――

あとがき


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