過去の回想
第6話 動画配信の収益化は18歳から①
「──そう言えば、双葉とレイナさんと会ってからもう1年も経つのか……あの時は色々あったなぁ………」
健一は1年前の出来事を思い出したのかしみじみと独り呟いた。
◇
丁度高校に入り、1人暮らしをする事になった健一は家の仕送りだけじゃ物足りないと思ったから何かアルバイトをしなくてはと思っていた。
別に一人暮らしをしているのは家族と仲が悪いとかは全く無い、それよか家族と仲が良すぎるのが気持ち悪い程だ。
健一が一人暮らしをする事になった理由も勿論ある。どうせ社会に出るなら高校生の内に一人暮らしを慣れときたい──という建前は置いといて。
(一人暮らしってなんか良くね?だってそうだろ?家の事は自分が全てやらなくてはいけないが、口煩い親もいない、深夜まで起き放題で遊べる、親の顔が見たくなったら見にいけば良い、それに1番の一人暮らしの利点が……エロ本やエロゲを誰の目も気にせずやり放題だ!)
という事だ。
エロ本だったら、健康的な青少年なら誰でも一度は買ったことがあるだろう。
買わない奴は絶対ゲイ(偏見)だ、でも買ったは良いが何処に隠すか、見つからない様にするのがハラハラドキドキしていた、何故か悟以外の他の幼馴染達に見つかりボコボコにされていたが今となっては良い思い出だ。
エロゲはやった事がある奴は限られるだろう、親や幼馴染に見つからない様にプレイするというのがとてもスリルがあった。
自室でイヤホンを両耳に指してプレイするのがあの時は楽しかったと健一は思っている。だが、玄関の鍵が開く音、外の物音などが難題の敵だった事を今も覚えている。
その中でも健一がエロゲをやっていて1番の思い出が、悟の妹の未央が家に来るのを知らずに誰もいない事を良い事に音量全開で──エロゲをやっていた時だ。
Hシーンに差し掛かったと思った時、健一は顔をPCの画面にくっ付けていたのが悪かった。偶々家に遊びに来ていた未央がリビングに来た。そんな時、健一に声を掛けようとしたら健一が変な事をやっている事に気付くとそのまま健一の頭を鷲掴みにしてPCの画面に顔を叩きつけてきたのだ。
その後は何故か他の幼馴染も集まり5時間ほど説教をされた、それまでは未央は健一の事を「健一兄さん」と呼んでいたが、今ではカスとかクズとしか言われなくなってしまった。
そんな事があり、自由に出来る一人暮らしを満喫していている、住んでいる場所は家賃の安いアパートだから正直仕送りだけでもなんとかいけるが、何もしないよりはマシだろうと思い色々と試してみた。
が、自分に合っているアルバイトが見つからず家でダラけながらYou○ubeを見ていた時……ふと頭の中によぎった。
「仕事なら今目の前にあるじゃねえか」
と。
自分に合っていない事を探すよりも、自分に合っている事を探した方が良いに決まっている。でもそんなの簡単には見つからない、なら自分で作れば良いと思った。
そう………You○ubeなら自分がやりたい事を好きなようにやれるはずだと。
「………マジ、かよ」
だが、そんなに甘く行くわけもなく、You○ube自体は登録出来る。できる。だが、仕事のようにお金を手に入れるには収益化というものがあり「You○ubeパートナープログラム」というものに参加をして申請をして承認されると収益を得る事が出来るようだが、それにも落とし穴があった。
まず収益化にするには3つの難問がある。
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You○ubeの収益化について
・1つ チャンネル登録数が1000人以上である事。
これは誰でも知っている事だろう、YouTubeにはチャンネル登録という物があり、その登録数が1000人以上を超えていないと駄目なのだ。
・2つ 直近12ヶ月の総再生時間が4000時間以上である事。
これも中々難敵だ、始めたばかりではそんなに動画の数も無いし、まず人が見てくれないから難しいというのもある。
・3つ 18歳以上である事。
これが1番の難敵だった、まず健一は高校1年生の16歳になったばかりだ、なので3つ目の1番簡単だと言われている事すら突破出来ないのだ。
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「これじゃあ、You○ubeは無理だよな……」
──その事実に絶望して、やっぱり違う方法を探さなくてはと思っていた時、神はまだ健一を見捨ててなどいなかったのだ。
健一はYouTuberになれないという事実を知ったから気分転換にコンビニでも行こうとアパートから出た時、隣の部屋から何か1人で喋っている様な声が聞こえるのだ。
隣の部屋に誰かが住んでいるから声が聞こえるのは当たり前だが、それは深夜でも早朝でも関係なく聞こえる為、正直に言うと健一は迷惑していたのだ。部屋の壁が薄いから聞こえやすいというのもあるが、今の心が荒んである健一には逆効果だった。
「たく、人がアルバイト探しを難航しているのにこんなに──煩くしやがって」
健一が言っている事は中々理不尽な事だが、迷惑をしていたのは健一も本当の事なので、今まで注意をする事なくあまり気にしていなかったが、今日は苦情を良いに行く事にした。
まずはチャイムを何回か鳴らしたが、中の住人は出て来なかった。その後はドアノブをガチャガチャやっていたがそれも効果が無く、どうするかと思っていた時、中から気が弱そうな二十歳ぐらいの男性が出て来た。
「あのーさっきから煩いのですが……やめてもらって良いですか?これ以上やるなら──警察、呼びますよ?」
「110」と入力されたスマホを見せながらそう言われた健一だったが、血管がブチ切れるほど初めて人にこんなにもキレた事を今も尚覚えている。
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