第18話 かぐや姫、数千年の関係に決着をつける①

勝負が始まる前に今一度ルールを確認しよう。

両者初期ポイントが5000、最低レートは100ポイント、10000ポイントに到達した方が勝ち。不正発覚は敗北となる。

「じゃあ勝負を始めるとしよう。このトランプでいいか?」

そう言って朱雀はトランプをかぐやに見せる。

「一応不正が無いか確認するわよ?」

かぐやはトランプに不正が無いか確認する。

「…やっぱりか。」

かぐやは誰にも聞こえないような小さい声で囁く。

「不正は無かったわ、疑って悪かったわね」

そう言って朱雀にトランプの束を返す。

「不正が無いのは分かったし、そろそろ始めるとしよう」

朱雀はそう言って、カードを触りやすそうな黒い手袋を着ける。

「ええ、今日この場で数千年の関係を晴らすとしましょう」

…かくして、朱雀との決戦は静かに始まりを告げたのであった。


一局目、朱雀先行。

玲愛はかぐやの初手札を覗く。

((7と8のツーペア…さすがの強運ですね!このままフルハウスを狙って…))

そう玲愛が思っていた時だった。

「一局目は降りさせてもらう」

朱雀は自分の手札を見て直ぐに言った。

「な!?」

玲愛は驚きの目を朱雀に向ける。

「…」

朱雀はカード交換をすること無く一局目を降りた。

そして、持っていたカードを見せる。

4と6のツーペア…決して弱くは無かった。

この勝負はかぐやの勝ちである。

しかし、この勝負での異質さが、勝利の喜びを包み隠していた。


現在ポイント、かぐや5100ポイント、朱雀4900ポイント。


二局目、かぐや先行。

((初手札は10のワンペア、強くも弱くも無い手札ですね…))

しかしかぐやは、強気に出る。

「500ポイントにレイズするわ」

そう、かぐやはこの異質な勝負を駆け引きで戦おうとしているのだ。

しかし、朱雀にはそれが通じなかった。

「じゃ、あたしも1000ポイントにレイズだ」

「…っち」

あわよくば勝負を降りてもらおうと思っていたが、完全に逆効果である。

((かぐや様…ここは降りないと…))

そう、このまま勝負を続けてしまうと最悪1000ポイント以上を失ってしまう。

しかしかぐやは、カード交換をした。

自分の手札が強いカードだと、朱雀に錯覚させたいのだ。

((お願いします…神様…))

…来たのはバラついた数字だけだった。

かぐやの表情を見て、朱雀は嘲笑い言う。

「2000ポイントにレイズだ」

…かぐやはこの勝負に駆け引きが通じないのを理解した代わりに、1000ポイントを失ってしまった。


現在ポイント、かぐや4100ポイント、朱雀5900ポイント。


第19話に続く…

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