魔法を使えたら
船越真
第1話中学生
田島はいつも呼び出された。
「お前、女からちやはやされて最近調子に乗っているな」
田島は確かにそうだけど何が悪いと思いつつ、また始まるのだ。悪の洗礼が。田島はいつも同じ相手に呼び出されていた。相手は隣中学校の中学生だった。何かにつけて言い掛かりを付けてくる。田島はいつも、腹部を殴られている。田島は何も抵抗しない。いつも必死になって自分の悪魔を押さえている。悪魔はいつもこう囁く。
「お前、たまにはやり返せよ。半殺しの目に合わせればこんな奴らびびって手を出さなくなるさ」
田島は悪魔を抑えることに必死だった。
「きっと俺が悪いからだ。爺ちゃんのためていた貯金箱を壊したからだ。バチが当たったんだ」
田島は悪魔を抑える力が欲しいと思い、その日は自宅に帰らず、珍しく神社に向かった。そこでいかにも喧嘩の強そうな男と出会った。男の顔は、童顔で背が高く、髪の毛は金髪だった。髪型はリーゼントをしている。そして、龍のスカジャンを着ていた。
「何だ?用があるのか?」
男は田島に話しかけた。男は田島に話しかけてきた。
「悪魔を解放しろ、そうすれば道が広がる」
男は田島にそう言うと、呪文のような言葉を念じていた。男はヤンキーだった。ヤンキーだからこそそう話してくれている。必死になって男は呪文を呟いている。正直言ってヤンキーを始めてみた。ヤンキーと言ってもいいヤンキーだった。たばこをそっと差し出すと男は呪文の言葉を話しながら左手で田島から奪った。手ぐせが悪いと思いながら田島は聞いていた。男は急に静かになった。田島は自分の意思とは関係なく男に喧嘩をうっていた。
「上等だ。かかってこいよ」
男は先に手を出した。田島の体の動きは早く男の顔を殴った。男は顔を殴られて飛んだ。
田島は我にかえり男の元へと向かった。
「大丈夫ですか?すみません」
男の顔は殴られた痕がなかった。確かに殴った。その時は青い痕がついていた。だが、消えている。男は全然元気だった。
「俺にも悪魔がいる。普通の人間には見えない。お前と一緒だ。悪魔から人間に変わるのはほんの数秒だ。気にすることはない。悪魔はたばこが好きだ。たばこはこだわるな。それと悪魔は血を嫌う。このことを覚えておけ。血を流した人間は元に戻る。ただ、気をつけろよ。上級悪魔はどんな手を使ってでも襲ってくるぞ」
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