狂え、狂え

巫 歪

優等生

「日野森さんって本当に頭いいよね。」

「また優勝したの!?すごーい!さすがだね」

「日野森さん、いつもありがとうね。またよろしくね」

「日野森 楓殿。あなたは第32回図画コンクールにおいて...


そう。私は優等生。

勉強ができて、スポーツもできて、絵を描くのがうまくて、音楽もできる。どこをとっても優等生。


「楓!最優秀賞おめでと〜!これで何回目?さすが’’優等生’'だね!」


「...ありがとう!」


ちょっと棘のある言い方をされても、私は笑顔を絶やさない。だって、優等生だから。


「日野森!今度の生徒総会でまたスピーチ頼んでもいいか?他に人がいなくて」


「わかりました!」


やりたくないことでも、なんでも引き受ける。優等生だから。



「楓、この間のテスト満点とったのね。えらいわね。次も満点取れるよう、頑張りなさいね。」


「ありがとう。頑張るね。」


「そういえば、進路どうするの?」


「私、看護師になりたいな。」


「看護師。いいじゃない。あなたは優しいし、向いてると思うわ。...でも、あなたは賢いんだから看護師なんかより、お医者さんになった方がもっとたくさんの人を救えるとお母さん思うな。」


「お医者さん...そうだね。じゃあ私、お医者さんになるよ。」


「いい子ね。頑張りなさい。」


「....うん」


医者になんかなりたくない。私は看護師になりたいの。




でも、お医者さんになるよ。私。






だって私、優等生だから。

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