宇宙の夢、地球(ガイヤ)の恋

入江さな

プロローグ

 瑠璃は、ホームへの階段を急いで登った。電車に乗り遅れる。発車メロディーを聞きながら、ひたすら階段を見つめて駆け上っていた。


 その時、何かにぶつかりそうになるのを感じた。


「あっ、ぶつかる!」


 思わず立ち止まり目をつぶった。


 その瞬間、びゅんという、ものすごい風を感じた。目の前を何かが横切ったように思えたのだ。


 目を開けると、周りは何も変わっていない。もちろん、人もいない。


「――え?」


 一瞬、何が起こったかわからなかった。


「人にぶつかったと思ったのに……ただの風?……じゃない、絶対!」


 電車の発車メロディーが鳴り響く駅の階段で、呆然と立ち尽くす瑠璃。


 この出来事があってから、瑠璃は、誰にいうことはないが、不思議な存在を、地球外生物の存在を信じるようになった。

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