第10話

 学校での出来事

 

 

 オレは廊下を曲がり階段を登ろうとしてい

 た。

 すると小走りで階段を降りてきた女の子と

 ぶつかった。

「キャッ」

「おー、大丈夫⁇」

 思わず抱きしめたみたいになってしまった。

 

 

 って琴美かよ‼︎

「あ、小太郎…」

「なんでそんな小走りで降りてくるんだよ」

「うん…足が早とちりで。ごめん」

「足のせいにすんな」

「はーい。」

「よろしい。以後気をつけなさい」

「うん!ってか今小太郎に抱きしめられた」

「おう…いつでも抱きしめてやるよ。そん時

 は、遠慮なくいえよ」


 ついに言ったぞ!おれ!


「えー、ちゃんと入れてるから大丈夫ー」

 

 は?


「今なんて聞こえたよ?」

「いつでもぱく風呂入れてやる。だから遠慮

 なく言えよ」

「そんな事言ってねーから」

「えっ、ならいつものぱくさん見栄よ。損得

 は、遠慮なくよ?」

「もういい‼︎」

「えー、ぱくがどうしたの〜?」

「ぱくは、どうもしてない。お前の耳がどう

 かしてんだよ!」

「えーっ、最近小太郎のなぞなぞ難しい〜」

「なぞなぞしてないから」

「そうなの?」

「そうだよ‼︎」

 

 

 琴美さんよ…

 いい加減にしておくれよ。

 

 

 放課後先生に呼ばれた。

 また琴美がノート置いて帰ったんだな。

 

 先生のところに行くとやっぱり琴美のノー

 ト忘れてるから届けてあげてって事だった。

 

 夕方琴美の家に行くとまた階段を全力で降

 りてきた。

 本日二度目の琴美キャッチ。

「また、階段走って降りてきたね?」

「う〜ん。足のやつふざけやがって」

「足のせいにしない」

「は〜い。でもさ、階段ってどうしてもスピ

 ードでちゃわない?」

「ううん。でない。琴美足の力弱い?」

「うーん。どうかな?」

「あぶないよ。耳も足も悪いのかよ」

「猿も木から落ちるのかよみたいなトーンで

 言わないで!でノート持ってきてくれたん

 だ?」

「なんでわかった?」

「なんでって、それはもちろんにおいを嗅ぎ

 つけてきたからさ」

「犬かよ」

「私は、猫派」

「そうかよ」

 

 

「隣のぱくさん。ちーを見つめる」

「何いきなり?」

「あー、ちょっと言ってみたかっただけ」

「琴美の脳みそって暇なのかな?」

「はっ?暇なわけない。勉強がドンドコドン

 ドコ詰まってる。もうこれ以上の詰め放題

 は、おやめください。ちょっと!押さない

 でください!」

「誰も押してねーよ。」

 詰め放題…

 しかもドンドコドンドコって…

 

 

 無事ノートを渡した。

 

 足に力つけた方がいいよってアドバイスし

 てから、琴美は立ってる時よくスクワット

 するようになった。

 でも、信号待ちのときはやめようぜ。

 

 そんな琴美は、今日もオレの部屋でくつろ

 いでいる。

 

 するといきなり

「アイラブユー‼︎」

 なんて言い出すじゃないか⁉︎

 なぜこのタイミング⁈

 振り返ると…

 

 

 なんだよ…

 ちーに向かって言ってんじゃねーか…

 しかも、人の布団で猫とイチャイチャして

 るじゃん。

 しばらくすると一人と一匹は、仲良く昼間

 をしだした。

 

 

「先生‼︎寝過ぎです‼︎」

 ビクッ。

 琴美の寝言は、声がでかい。

 寝過ぎなのは、琴美。お前だ!

 

 

 琴美は、目を覚まして急に

「小太郎、将来お医者さんになるの?」

 なんて聞いてきた。

「え、なんないよ」

「なら、薬剤師?」

「ううん」

「じゃあ、看護師?」

「ううん。ってか全部医療関係じゃん。なん

 で医療限定?」

「え、今夢でドクター居眠り小太郎先生みて

 てさ」

「なんだよそれ⁈ドラマみてたみたいにいう

 なよ」

「まぁ、ドラマ仕立てではあった」

「楽しい夢だな」

「うん!で、夢ないわけ⁈」

「うーん。まだ決めてないかなぁ」

「何をボサッと生きておるんじゃ‼︎しっかり

 せい!」


 え…いきなり起きたばっかりのやつに怒ら

 れた…

 

「琴美は?夢」

「私は、夢だらけ〜毛だらけ」

「は?」

「ほらみてよ!ちーの毛が黒の洋服にびっし

 り」

 夢ないんだな。はぐらかしやがった…

 

 

 

 オレ本当は、夢一つだけあるんだよな。

 琴美とずっと一緒に過ごす事。

 

 でも、それは黙っとこーっと。

 

 

 ちーも目を覚ました。

 そして、下に降りようとしていた。

「待っておくれよ。ちー…私を置いていかな

 いで…」

 琴美の小芝居か。

「ならオレがいるよー。琴美ー」

 小芝居に乗ってちーが寝てた所に座った。

「降りろ!小太郎…早く」

「なんでだよ。ここオレの布団だし」

「うん。わかってる。でも今足がビレて…

 ちょうどそこに今小太郎が乗っかったの」

 ビレた?

 あー、足が痺れたのか。

 

 

 思いっきりその足をくすぐってやった。

「ふぎゃ〜。やめてよ〜」

「足のやつ、ふざけやがってんだろ?いつも

 階段走る悪い足め。お仕置きだ」

「わ、わかりました。もう階段走りません」

「なら、許してやろう」

 

 

 こんなくだらない毎日を過ごしている。

 でも、楽しい。

 

 続く。

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