第三十八話 天下の台所なのです!

「神戸観光、最高だった」


「美味しい物もいっぱいだったのです〜♪」


「ノルンはいつも通りじゃが、珍しくロクラエルが一番はしゃいでたからのぅ」


「ふふっ♪そういうヘグレーナちゃんもご飯に温泉にって全力で堪能してたけどね」


「お、美味しかったんじゃから仕方ないじゃろ!特にあの神戸牛……あれは筆舌に尽くし難い美味しさじゃった」


 あの後、存分に神戸を堪能した後ホテルにやってきた四人は明日に備え着替えや荷物を準備したり整理しながら、いつものように今日の感想を言い合っていた。


「それで明日は兵庫のどこに行くのです?」


「まだ寄り道したい所はあるし、大き目の街を通る予定もあるけど、さっき確認したらちょっと近畿支部から不穏なメールが来たんだよねぇ」


「近畿支部……なのです?」


「その近畿支部とやらはここから近いのか?」


「知っての通り私達が今所属してるこの局地異常災害対策機関は各地方一つずつ支部があるんだけど、各支部には空間異常観測装置が置いてあってね、近畿支部のそれに反応があったって訳」


「なるほどのぅ。して、その近畿支部とやらはどこにあるんじゃ?」


「近畿支部があるのは近畿の経済の中心、そして西日本最大の都市がある大阪だよ」


「大阪、聞いた事ある。確か関西弁」


「関西弁というと、どないなっちゅーねん!って感じの方言じゃったかの?」


「面白そうな方言なのです!それでその、大阪県はどこにあるのです?」


「おっとノルンちゃん、大阪は県じゃなくて府だよ。大阪府。間違えると怒られるぞー」


 大阪を知らずに県と言ってしまったノルンのおでこに、ぺちっと優しいデコピンをしながら水無月はそうノルンに間違いを教えてあげる。


「き、気をつけるのです!それでその、大阪府はどこにあるのです?」


「おっとそうだった。その大阪府はここ兵庫のお隣、ここから30分のところにあるよ」


「「「近っ!」」」


「でしょー。ま、いうてあのポンコツもそこそこ探知性能だけは高いし、あってもごく小規模な物だと思うけどねー」


「だといいがのぅ……それで水無月や、その大阪府には何があるのじゃ?」


「さっき西日本最大の都市とかいってたのです!」


「気になる」


「いいでしょう。興味津々なみんなに大阪の魅力を教えてしんぜよう。とはいえ、先ず大阪の魅力と言えばやっぱり粉物だね。ノルンちゃんなら聞いた事あるんじゃない?」


「……?はっ!そうなのです!大阪は粉物の聖地なのです!」


「「粉物の聖地?」」


「そうなのです!お好み焼きにたこ焼き!この二つは外せないのです!」


「たこ焼きと言えばあれか、よく水無月が妾達の部屋にやってきて作ってくれておったあの丸いヤツ」


「なのです!それにたこ焼きは大阪が発祥の地、種類もいっぱいあるのですー!」


「勿論、粉物だけじゃないよ。二度漬け禁止が謳い文句になってたりする串カツだったり、でっかい蟹が飾ってあるカニのお店だったり、他にもフグとかラーメン、お寿司だったり、本当に食べ物に関しては事欠かないし隙がない街だよ」


「それは楽しみじゃのぅ!」


「うん、楽しみ。名所もいっぱいありそう」


「勿論。日本一長い商店街にバラ園がある中之島公園、そしてさっき言った食べ物が全て揃ってる道頓堀にでっかいピエロの顔が特徴的なアメリカ村、大人気テーマパークUAJだったり、名所も挙げきれないくらいあるよ」


「おぉ……!」


「これならロクラエルも大満足じゃな」


「ま、そういうことだから。ちゃちゃっと行ってぱぱっと解決してめいいっぱい大阪観光を楽しもう!」


「「「おぉー!」」」


 水無月とノルンによる怒涛の大阪紹介を聞き、ロクラエルとヘグレーナもテンションが上がってきた所で、一行はそう拳を突き上げてそう言うとそのまま就寝するのだった。

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